今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 揺れる新人研修制度
今回は『1963年9月30日号』。定価は40円だ。
9月15日現在、セは首位巨人、2位
中日の差は4ゲーム。首位を独走していた巨人だが、
広岡達朗、
長嶋茂雄らの相次ぐ死球禍もあって失速。
荒川博コーチは自分の選手に危険球が投げられるたびにカッカしていたが、長嶋は当てた
阪神・バッキーが謝罪に来ると、
「大丈夫。逃げられなかった僕が悪いんだ」と言ったらしい。
さすが大スター。
対してパは首位南海、2位に西鉄の差が6ゲーム。優勝ムードの南海では100試合の研修期間が終わった新人左腕・
林俊彦が日本シリーズの秘密兵器として注目されていた。
もはや優勝の芽は消えたが、パで3位と奮闘するのが、近鉄だ。
打者ではブルームが腰痛で出遅れながらも復帰後は打ちまくって2年連続首位打者に向かい、ひた走っている。
研究家で顏見知りのカメラマンから自分の打撃フォームの写真をもらい、それをチェックしながらバットを振るのが日課だった。
一方、最下位にどっかりの阪急・
西本幸雄監督へOB、ファンから非難の声があがっていた。厳しい指導で若手を鍛え上げ、世代交代も進めたが、なかなか結果が出ない。
岡野球団代表は「新陳代謝のとき、長い目で見るべきだ」と擁護するが、外されたベテラン選手の不満も大きかったようだ。
セでは打率トップの巨人・長嶋を死球離脱となった間に追い上げたのが、
広島の
古葉毅だ。
本人は、「3割を打つ自信はありますが、首位打者はちょっと。相手は長嶋さんですからね」と謙虚だ。
この年から導入された新人研修制度が揺れている。未成年者は50試合、成年は100試合に出場できないというものだが、これではせっかく高いおカネで選手を取ったのにもったいないと廃止、短縮が実行委員会で議題となった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM