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ベースボールゼミナール

ファーストの守備力を高めるには?/元広島・野村謙二郎に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代に名遊撃手として鳴らした、元広島野村謙二郎氏だ。

Q.小学生の野球チームを指導しています。私なりに適性を見て各ポジションに選手たちを割り振っているのですが、ファーストはどうしても守備力が疎かになってしまいます。ファースト守備の基本練習と、ショートバウンドの捕球がうまくなるような練習方法があれば教えてください。(徳島県・43歳)



A.ファーストが守備力の高いチームは総じて強い。練習で守備力を高めることは十分に可能です。


イラスト=横山英史


 守備力の高い選手をファーストに配置している(できる)チームは、強いです。どうしても打撃重視であまり守備力の高くない選手を配置してしまう気持ちも、よく理解できます。特にプロだとその傾向が強いのは、皆さんもお気づきですよね。

 ただ、考えてみてください。セカンド、サード、ショートが打球をうまく捕球できても、ファーストがその送球をきちんと捕球し、一塁ベースに触れなければ“アウト”を取ることができません。正面に正確に投げられれば、どんなレベルのファーストでも、これを受けてアウトにできるでしょう。

 では少し送球が逸れたら? 目いっぱい腕を伸ばさないとノーバウンドで捕球できなければ? それこそショートバウンドだったり、ワンバウンド送球だったら? ここにはそれ相応の技術が必要で、だからこそ、守備力の高い選手がファーストを守っているチームは、アウトにできるプレーを確実にアウトにするため、強いのです。もちろん、練習でファーストの守備力を高めることは可能です。まず、質問にもあるように、ショートバウンド(送球)の捕球技術を上げることができれば、かなり変わるでしょう。

 プロでも採用している練習方法を紹介します。まず、第一段階としては選手にファーストベースにつかせて、近い距離からノックを打ち、それを送球を受ける形で捕球させる。ノックはショートバウンドに限らず、ゴロ、ハーフライナーをミックスさせるといいでしょう。このとき、ノッカーは一カ所から打つのではなく、ファーストから見てセカンド方向、ショート方向、サード方向と移動してあげます。さまざまな打球を受けることになりますし、ハンドリングの強化としても最適な練習だといえます。

 慣れてきたら次のステップとしては、ノッカーは同様で、今度はファーストを定位置から合図でベースにつかせ、タイミングを見てノックをします。あまりうまくない選手は、走ってベースに入ろうすると、送球を気にしてベースを踏み損ねることが多いので、ここではベースの入り方もセットで練習する狙いがあります。プロの世界でも二遊間は無理だけど、ファースト守備に適性があり、練習で抜群にうまくなった選手もいるので、試してみてください。

●野村謙二郎(のむら・けんじろう)
1966年9月19日生まれ。大分県出身。佐伯鶴城高から駒大を経て89年ドラフト1位で広島入団。2005年現役引退。10年〜14年は広島監督。現役生活17年の通算成績は1927試合出場、打率.285、169本塁打、765打点、250盗塁。
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