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週刊ベースボール60周年記念企画

王貞治、大記録へ快調スタート/週べ1964年4月6日増大号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

金田正一、悪口を反省する


表紙は巨人王貞治




 今回は『1964年4月6日増大号』。定価は10円上がって50円だ。

 オープン戦で“二本足打法”に挑戦し大スランプとなり、再び“一本足打法”に戻した巨人・王貞治が、すさまじい勢いで打ちまくっている。

 3月20日、巨人の開幕戦は後楽園球場での国鉄戦だった。
 過去5年間、開幕戦ノーヒットが続いていた王だが、第2打席、金田正一からライトの鉄塔をかすめ、道路を超えて飛んでいった推定飛距離150メートル場外弾。 

 さらに22日のダブルヘッダー第1試合に2本、第2試合に1本。4試合で4本塁打、打率は.643だった。

金田のじらしに王の足が下りる



 2枚目の写真は冒頭の王対金田の第3打席。
 一本足の王に対し、金田もまた足を上げたまま静止。じれた王が足を下ろしたところで投げ、ストライク。さらに2球目は逆にクイックで投げたが、王は、これをすかさずライト前。

 荒川博コーチは1球目を絶賛した。
「去年はスローボールにも向かっていき、打たなくてもいい球を随分打った。おかげでフォームを狂わせ、タイミングを狂わせた。いまは違う。無駄な球はあっさり捨てている」

 金田はコラム「プロ野球なで斬り帳」でこうぼやく。

 王(ワン)ちゃんにやられた。人のことは絶対にいわんことやね。オフ・シーズンはいいが、シーズンに入ったら人のことはいっちゃいかん。そういうことをつくづく感じた。
 ある新聞社の座談会で、
「お前、一本足か二本足なんて何しとるんや。一本足と決めて、どうしてやらんのや。とにかくまだ王ちゃんなんか問題ない」
 と、くそみそにけなした。そうして全然長嶋君をほめちゃった。眼の前においてけなしたんやから、やましいことはないし、多少はカッカさせてやったわけやが、そのあくる日からホームランを打ち始めた。
 反対にシゲは、さっぱり駄目になった。全然逆だった。

 シーズンが始まったら、第1戦で王ちゃんにかまされた。人の悪口を言うもんじゃないと、つくづく思ったね。
 常に人をほめることを忘れちゃいかんね、まったく。

 中日の高校養成選手がまた増えた。中学卒業後、前年入団したのが、松本、杉、森田の3選手だったが、今度は長崎から金富泰洋、福岡から中原薫の15歳2人。驚くべきことだが、金富は野球はズブの素人。相撲やバレーボールをしていたという。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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