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阪神バッキーの審判批判/週べ1964年6月15日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

装甲車から双眼鏡?


表紙は左から巨人王貞治長嶋茂雄




 今回は『1964年6月15日号』。定価は50円だ。
 
 阪神のバッキーの日本球界批判が掲載されていた。

 これは5月28日の阪神─巨人戦(甲子園)の試合後の一言を発端としている。8対6でチームは勝ったが、大乱調だった先発のバッキーは「調子が悪かったのか」という質問に対し、
「調子はいいさ。だけど9対15じゃ誰も勝てっこないだろ」と吐き捨てた。
 要は審判6人も敵というわけだ。

 6回、明らかなファウルがホームランとジャッジされ、逆転の3ランとなった件をさす。

 バッキーは試合中からイライラを隠さず、ストライク、ボールのジャッジにも激高し、しつこく抗議したが、この記事を読むと実は「アメリカではこれだけ言ったら退場。日本は選手に寛大でよかった」とほっとしていたという。
「完ぺきなボークを取らなかったシーンもあった」とも語り、ミスジャッジもそうだが、日本の審判が毅然としていないことにもイライラを募らせていたと強調した。

 ほかはローテをきちんと守って起用してくれない。甲子園はリリーフ登板のとき、スクーターでマウンドに向かうのだが、不安定な荷台に乗るのが嫌だ、大阪と東京の球場でボールの縫い目の高さが違うのが嫌だ、など、いろいろ書いてあった。

 前回触れた阪急のワイヤレスマイクでの“忍者作戦”が騒動になっていた。セ・リーグ会長・鈴木龍二からも「ルール違反では」と指摘があったようだ。

 メジャーのスパイ行為の話があった。
 以下は、王シフトのもとにもなった守備のシフトを初めて導入したインディアンスのブードロウが1948年にやったというものだ。

 インディアンスの本拠地球場に甲子園のラッキーゾーンのようなスペースがあったのだが、そこに装甲車を置き、中から捕手を双眼鏡で覗いてベンチに無線で情報を送っていたという。これは猛烈な批判を浴び、そうそうに自粛したらしい。

 アメリカ留学中の村上雅則の近況も入ってきた。
 3勝0敗と順調に勝ち星を挙げ、所属のフレスノのワール監督も大絶賛。
「村上の速球は大リーグ投手にもないくらいで、私がこれまで見た中で一番速い。コントロールも絶妙だ。さらに彼の速球が進歩したら、ここ2、3年のうちに大リーグに登板する最初に日本人投手になるだろう」

 記事を書いていたアナウンサーの渡辺謙太郎は「アメリカ人のお世辞のうまさは定評のあるところだから、このまま受け取るわけにはいかないにしても」とも。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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