週刊ベースボールONLINE

パンチ佐藤の漢の背中!

バッティングセンターを経営する元オリ・高見澤考史/パンチ佐藤の漢の背中!「2」

 

『ベースボールマガジン』で連載している「現役を引退してから別のお仕事で頑張っている元プロ野球選手」のもとをパンチさんが訪ね、お話をうかがう連載です。今回は元オリックス外野手で(パンチさんと時期は重なっていません)、現在はさいたま市でバッティングセンターを経営する高見澤考史さんをお訪ねしました。

子どもたちには自分で考え、行動することを学んでほしい


パンチ佐藤(右)、高見澤考史氏


 最初の仕事は、バッティングマシンの機械室に入り、機械の仕組みからメンテナンスの方法を覚えること。次に、お金の勘定から接客業のあり方について学び、店の業務全般を店長から引き継いだ。同時に、子どもたちと話をしながら、野球を教えていく。

 給料は一般的なサラリーマンと同程度ながら、一人ですべてをこなす職場。休みを取ろうにも取れなかったが、それでも野球に関わる仕事はありがたく、楽しかったという。

パンチ この仕事をやるうえでの喜びや、「この仕事って面白いな」と感じたのは、どんな瞬間?

高見澤 やっぱり子どもたちと話すのが一番ですね。

パンチ 子どもたちには、どんなことを言い聞かせているの?

高見澤 うまくなりたいなら、いろんな人の動きを見て、マネしてみなさいということですね。ただ、あまり強制はしていないです。

パンチ 俺も、それは賛成。俺も、いろんな左バッターのモノマネをしたんだ。王(貞治)さん、加藤秀司さん、篠塚(利夫)さん、吉村(禎章)さん……。その中で掛布(雅之)さんの打ち方が俺に合うなと思ってね。「マネぶ」が「学ぶ」なんだよね。

高見澤 そうですね。そこはこれからも大事にしていきたいと思っています。

パンチ 今の子どもたちに教える難しさはある?

高見澤 グラウンドに出てみると、指示されなければ動けない子が多いですね。“勝手”ということがなかなかない。仲間なんだからチームプレーの中でも、自分なりに気を使って動いてみればいいのに、「やったことがないから分かりません」って言って、やらない。「自分の思うとおりに一回、やってみたら?」と言っても、なかなか難しいですね。そういうことが、例えば社会に出たときお茶を出すタイミングとか、ちょっとしたことにつながると思うんですが。

パンチ 俺、仕事でよく(福岡県の)久留米に行くんだけど、そこである人の息子に教えてくれって言われたの。なじみの焼き鳥屋さんに、小6と小4の息子が2人、バットを持ってきたんだよ。さっそく外で振ってもらってね。彼らにアドバイスして、そのあとササッとビールを飲んで焼き鳥を食べて、「じゃあ帰ろうか」ってとき、その2人が俺たちの靴を出して並べたんだ。しかも、靴ベラまで差し出して。俺、もうグッときちゃってさ。子どもがそれをできるということは、親もそうなんだよね。

高見澤 僕もそう思います。

パンチ こういう子はグラウンドでもこうやって動くんだろなって俺は思ったね。そういうところから教えなきゃいけないんだ。

高見澤 そうなんです。子どもたちはお客さんなんだけど、お客さんにはしたくない。

パンチ 今の言葉、いい言葉だね。だけど、そこは親御さんとの関係も難しいでしょう。

高見澤 今は僕らのときと違って、子どもと親の距離が非常に近いんです。子どもに質問しているのに、親が返事しちゃう。子どもが自分で使った道具は、自分で持ち帰るのが当たり前なのに、親が持って帰るとか。

パンチ おかしいね。

高見澤 ヘタをすると、親が道具の手入れまでしてやるんです。

パンチ それはよくないねえ。

高見澤 子どもに“感じて”ほしいのに、子どもがいろいろ感じて考える前に、親が思ったことを言っちゃうんですね。あるいは、子どもが親のほうをチラッと見たら、それでOKとか×とかサインを送ってる。それなら、ここに入らなくていいんじゃないの、と思うことも正直ありますね。

パンチ そこは親御さんのほうにも、分かってほしいよね。

高見澤 はい、もちろんすべてが親御さんのせいではないですが、僕は子どもが自由に自分の発想で行動できるようになっていてもらいたいんです。今、ネットで調べれば何でも出てくるでしょう。それも参考にしつつ、自分で自分の形を作っていけばいいんですが、たまに親御さんがご自分の経験や考えを押し付けてしまうことがあるんです。ご自分が途中まで考えた形をもう一回、子どもにやらせたい思いが強いようで。

パンチ 要は自分の夢を子どもにぶつけているんだよね。

高見澤 そうですね。でも子どもには自分で考えて、自分の思うとおりにやってほしい。親御さんじゃなくて、子ども自身が夢見る通りの選手になれるように、自分で試行錯誤していってほしいんです。

パンチ あくまでも自分の頭で考えてね。

高見澤 はい。ただ、そこは今の時代、外で野球をすると危ないという声が多いので、「ウチで場所を貸し出しますよ」ということ。スクールも、それでもうけたいどうこうではなく、何か子どもたちの手伝いができればという思いでやっているので。

<「3」へ続く>

●高見澤考史(たかみざわ・こうじ)
1975年4月30日生まれ、群馬県出身。前橋工高から東京ガスを経て、ドラフト6位で2001年オリックスに入団。2年目の02年には62試合に出場、打率.279の成績を残すも、故障により03年限りで引退。通算成績は68試合、打率.269(43安打)、4本塁打、26打点。その後は「アーデルバッティングドーム」の社員に転身したのち、経営権を買い取りオーナー社長に就任、現在に至る。

●パンチ佐藤(ぱんち・さとう)
本名・佐藤和弘。1964年12月3日生まれ。神奈川県出身。武相高、亜大、熊谷組を経てドラフト1位で90年オリックスに入団。94年に登録名をニックネームとして定着していた「パンチ」に変更し、その年限りで現役引退。現在はタレントとして幅広い分野で活躍中。

構成=前田恵 写真=高塩隆
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング