今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 野村克也のホームランは初じゃなかった?
今回は『1965年4月5日号』。定価は50円だ。
以前の号で、南海・
野村克也が入団以来初めてオープン戦でホームランを放った、という話を書いた。
実際、大きな見出しとなり、本人が語った言葉もあるが、読者の指摘で実際には62年に1本あったことが分かった。
まあ、誤報ではあるが、本人の話からだったので、ご容赦いただきたい。
この号では、ちょっと悪質な誤報についての検証記事があった。
故障で離脱していた巨人・
金田正一が3月21日の対西鉄オープン戦に復帰登板。ノーヒットに抑え込み、回復の順調さを感じさせた。
これも以前の記事だが、金田が「息子を誘拐する」という脅迫を受けたという話を書いた。これについて『週刊現代』の3月25日号で「金田投手脅迫の陰の男」と題する記事が載ったらしい。
それによれば、プロ野球界には脅迫グループがあり、日本シリーズで巨人が56年から3年連続西鉄に勝てなかったのも、この脅迫グループが陰で動いたからだという。
具体的には、当時の巨人・
水原茂監督の自宅に夜ごと脅迫電話を入れ、眠れなくさせたからだとか。
今回の件も「巨人内部に次期政権争いと派閥闘争がしのぎを削り、巨人軍内部と脅迫グループがなんらかの結び付けを見せ起きたもの」だと書き、そもそも金田のケガ自体が謀略の結果だという。
まあ、よくあるインチキ記事なのだが、それを真っ向から……多少面白おかしくチャカしながら検証したものだ。
細かくは書かないが、記事の筆者・五百崎三郎というプロ野球記者について調べ、素性が分からず、存在すら謎と断じて、最後は「プロ野球記者の肩書きの上に推理、あるいは空想と入れるべきでは」とある。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM