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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

スカウトはプレー以外にも目を凝らす。筑波大・篠原涼は「数字」以外でも戦力になる

 

筑波大・篠原(3年・敦賀気比)はプレー以外、リーダーシップの部分にも長けている


 正真正銘のリーダーと呼べる野球人は、毎年、現れるものではない。ドラフト補強において、実力のある選手を獲得するのは当たり前だが、球団の将来ビジョンを見据えた場合、チームを支える大黒柱は必ず必要である。投手は毎試合、出場しない。つまり、常時、グラウンドに立つ野手こそがけん引役に適している。

 12月1日から3日まで、愛媛・松山で侍ジャパン大学日本代表候補合宿が行われた。全国26大学連盟から推薦された39人が参加した。このメンバーの中で待ちに待った注目選手が、筑波大・篠原涼内野手(3年・敦賀気比)だった。新戦力発掘が今合宿の目的の一つであったが、かつてのリーダーの初招集に「ようやく、選ばれた!!」というのが正直な思いだ。

 2015年9月、甲子園を主会場に開催されたU18ワールドカップ。高校日本代表のキャプテンを務め、銀メダル獲得に貢献したのが篠原だ。同春には敦賀気比をセンバツ初制覇へ導いた主将でもある。日の丸を背負い、世界一をかけた真剣勝負においても、持ち前のリーダーシップを発揮。当時唯一、1年生でメンバー入りした早実・清宮幸太郎日本ハム)に対し、兄貴分役として接する優しさが印象に残った。

 高校日本代表を率いた大阪桐蔭高・西谷浩一監督も急造チームを短期間で束ねた人間性に、一目を置いていた。グラウンドでは身を粉にして動き、試合後のインタビューでは的を射た発言に徹する。高校球児とは思えない洗練されたキャラクターは、各メディアからも「支持者」は多かったと記憶する。

 筑波大でも地道に努力を重ね、この秋、明治神宮大会に出場。久しぶりに全国舞台へと戻ってきた(一番・三塁)。近大との初戦で敗退したとはいえ、ビハインドの最終回には気迫の中前打を放つなど、高校時代と変わらないガッツあふれるプレーに目を奪われた。

 試合後の取材では3年生ながら、すでにチームを背負う覚悟がにじみ出ていた。大学日本代表においても、間違いなく「戦力」になる。実力に加えて、数字に現れない部分で期待できるのが篠原の魅力であるからだ。

 大学卒業後の進路については「上のレベルで、野球を続けたい」と、プロも選択肢の一つだという。プレー以外にも目を凝らすスカウトは、篠原の献身的な言動は当然、パーソナルデータに入力しているはず。2019年、チームにプラスαをもたらす正真正銘の優等生プレーヤーに、要注目だ。

文=岡本朋祐 写真=川口洋邦
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