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2018シーズン総括

【2018広島総括】切れ目ない強打線を前面に不安定な投手陣をカバーし、球団史上初の3連覇を達成

 

投手力 PITCHING REVIEW


球団史上初の3連覇を達成し、ペナントを手にした広島ナイン。マツダ広島でのV決定は初



 チーム防御率は4.12と、優勝チームとしては胸を張れない感じもあるが、それでも先発は大瀬良大地、ジョンソン、岡田明丈野村祐輔九里亜蓮の5人がほぼ1年間ローテーションを守り抜き、抑えも中崎翔太が内容的には苦しみながらも1年間やり切った。逆に中継ぎのほうは、本来のセットアッパーの今村猛ジャクソンが安定せず、調子を見ながらさまざまに組み換えを行って乗り切ったという印象が強い。

 先発では最多勝利と勝率第一位の2冠を獲得し、エースに飛躍した大瀬良大地とジョンソンが安定した働きを見せて引っ張った。大瀬良は5月に、ジョンソンは7月に登板した試合を全勝し、それぞれ月間MVPを獲得している。

 中継ぎでは、前半戦はアドゥワ誠、後半戦はフランスアが踏ん張りを見せた。シーズン途中に支配下選手登録されたフランスアは、8月にプロ野球最多タイの月間18試合に登板し、この間の防御率0.51で月間MVPとなるなど、活躍が光った。

攻撃力 HITTING REVIEW


 今季も一〜四番は田中広輔菊池涼介丸佳浩鈴木誠也を基本型として戦った。田中と菊池は例年ほど打率が上がらず、ときおり一、二番を外されるなと苦しんだが、要所では活躍を見せた。丸と鈴木は、それぞれ戦列を離れた時期が少しあったが、それを補って余りある活躍。特に丸は、歴代4位タイの130四球を選び、.468の驚異的な出塁率を記録。本塁打も39と、長打力にも伸長を見せた。

 五番から下位打線にかけては、戦力の厚みを見せつけ、他球団を圧倒した。勝負強い松山竜平、一発長打のバティスタは、五番、あるいは丸、鈴木の欠場時には三、四番としても強打を発揮した。さらに6月半ばまで3割5分超の打率があった野間峻祥、ともに規定打席にはわずかに届かなかったものの3割を打った西川龍馬會澤翼が「恐怖の下位打線」を形成。投手の打順以外は切れ目のない打線となった。

 あきらめを知らないチームカラーも浸透、勝利の半分が逆転勝ちという粘り強さも見事だった。

守備力 FIELDING REVIEW


 今季も、外野とセンターラインを中心に、守備には大きな乱れはなかった。セカンドの菊池は球宴明けまで無失策と、相変わらずの安定感。ショートの田中も昨年の16から7へ失策数を大きく減らした。外野はライトの鈴木が足の状態が万全でなかったものの、その強肩は健在。センターにはゴールデン・グラブ賞を獲得した丸がおり、さらに俊足の野間でレフトが固まったことにより、ほぼ鉄壁の守備陣が出来上がった。

 ただ、松山とバティスタが主に守ったファーストと、終盤に西川が乱れを見せたサードは安心できるレベルに達したとは言えなかった。

 捕手は、會澤を中心に、ジョンソンの先発の際は石原慶幸、大瀬良の先発の際には磯村嘉孝を中心とした起用とするなど、3人で休養を作りながらうまく回したが、リードのほうはともかくとして、チームの盗塁阻止率は.192に終わり、来季へ課題を残した。

[2018年の主な達成記録]
▼通算1000安打=石原慶幸、5月11日対阪神(マツダ広島)、プロ野球292人目

▼通算1000試合出場=丸佳浩、6月8日対楽天(マツダ広島)、プロ野球492人目

▼通算1000安打=丸佳浩、6月30日対DeNA(横浜)、プロ野球293人目

▼通算100セーブ=中崎翔太、8月8日対中日(マツダ広島)、プロ野球30人目

▼通算250犠打=菊池涼介、9月29日対巨人(東京ドーム)、プロ野球20人目

写真=BBM
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