一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 神様に頭をガンと殴られた
1971年は王にとって厳しいシーズンになった
今回は『1971年12月13日号』。定価は90円。
阪急との日本シリーズでは主役となったが、大スランプに苦しんだシーズンの後だけに、
巨人・
王貞治の周囲が騒がしい。
特に多かったのが「一本足の限界論」。楽な二本足に戻したほうが選手寿命が延びる、という評論家が多かった。
王のショートインタビューも掲載されていたが、その一本足打法に関する部分だけ抜粋する。
絶対に一本足はやめない?
「やめない。かつて荒川(
荒川博)さんは、一本足は二本足に行くまでの一過程だとおっしゃったが、僕たちの間で、この考えは途中であらためられた。
僕はふつうの打者のように二本足で打てないからこそ、一本足で打つことを始めたんだ。途中で何度も二本足に戻そうとしたが、成果はあがらなかった。しかも、過去10年、この打法でいまの王貞治のあらゆる実績を突き重ねてきた。それをどうしてあらためる必要があるのかということだ。
一本足ははたから見て窮屈に見える、とか体に無理がかかっている、と見る評論家もいるようだが、やってる僕はちっともそう思わない。
一本足ができなくなったら、僕は終りとさえ思う」
さらにこんなことも話している。
「人から頑固者と言われようと、僕の野球人生です。自分で間違っていたと気づくまでは自分のやり方で押し通します。
それより今年、10年目で初めて頭をガンと殴られて目が覚めたことを大事にしたい。きっと神様が注意してくれたんでしょう。来年はこれを教訓に出直します」
この頑固さが超一流の証しでもあるのだろう。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM