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2020甲子園交流試合

智弁和歌山の「名将の孫」が甲子園初登場で厳しさを体感/2020甲子園交流試合リポートVol.16

 

新型コロナウイルス感染拡大のため中止となった今年3月のセンバツ出場32校の「救済措置」として甲子園で開催される「2020年甲子園高校野球交流試合」。今夏は地方大会と全国(甲子園)も中止となった。特別な思いを胸に秘めて、あこがれの舞台に立つ球児や関係者たちの姿を追う。

代打で登場も中飛に


智弁和歌山高の2年生・高嶋奨哉は尽誠学園高と交流試合で代打出場も中飛に倒れた。18年夏まで同校を率い、甲子園最多68勝の高嶋仁前監督の孫である


 甲子園歴代最多68勝を挙げた智弁和歌山高・高嶋仁前監督を祖父に持つ高嶋奨哉(2年)が、尽誠学園高との交流試合で代打出場。「名将の孫」が初めて、甲子園でプレーした。

 背番号13は4回表二死から代打で登場。フルカウントからの6球目を強振したが中飛に終わっている。

「打てそうで、良い感じで振れましたが、正面に行ってしまいました」

 チームは1対8という結果に終わり、悔しさをかみ締めた。甲子園の厳しさを体感した。

「守りのミスはなかったが、ヒットで出塁することの難しさ。次の打者につなぐ意識。ここを修正して、勝てるチームになって(甲子園に)戻ってきたいです」

 3歳から甲子園で智弁和歌山高を応援してきた。中学時代に試合で来られなかったとき以外は、ほぼフルカバー。祖父の偉大さを目の当たりにしてきた。今回、初めてグラウンドに足を踏み入れると「(一塁を守った)シートノックから信じられなくて……」と、胸の高鳴りを抑えることができなかったという。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた活動自粛期間中、2週間に1回のペースで祖父から打撃指導を受けていた。「少し見ただけで悪いクセを見抜いてしまう。そこは、さすがだと思います」。甲子園初打席では結果を残すことができなかったが、まだ2年生。全国舞台のチャンスはあと2回、残っている。

「今年はセンバツがなくなって、夏の地方大会も中止。3年生の代は今回の1試合しか甲子園がなくて、負けてしまった。先輩の思いも背負って、恩返しできるように絶対、日本一になりたいです」

 ベンチで仁王立ちしていた名将と同様、背筋をピンと伸ばして質問に受け答えしていた。

文=岡本朋祐 写真=毛受亮介
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