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ファーム通信

【プロ野球ファーム便り】巨人 増田大輝「育成発一芸に秀でた“職人”」

 

守備と走塁を磨き上げ、7月28日に支配下に昇格した巨人増田大輝


 颯爽とした身のこなしは、観衆の目を引きつける。増田大輝は一級品の守備で勝負をかける。念願の2ケタ背番号「98」を背負い、一軍の舞台を夢見て汗を流す毎日だ。

 2016年に独立リーグ四国ILの徳島から、育成ドラフト1位で入団。15年2月に結婚した妻・優香さんと同9月に誕生した長男を、その妻の実家がある徳島・阿波市に残し、「まずは家族を養えるお金を稼がないといけない」と単身で上京し、プロの世界に飛び込んだ。

 入団後はファームで自慢の守備と、バントなど小技の安定感で評価を上げ、出番を勝ち取っていった。チームは三軍制を採用しているが、新人年の昨季は育成登録選手ながら二軍に定着(二軍公式戦44試合で打率.238、0本塁打、9打点)。同年11月に台湾で開催されたウインター・リーグにも派遣され、今年3月のオープン戦では一軍も経験した。今季は8月30日現在で35試合に出場し、打率.291、1本塁打、12打点と課題だった打撃で猛アピールし、7月28日に支配下契約を勝ち取った。

「もともと守備と走塁で取ってもらったので、そこは100パーセントの確実性を目指さないといけない。あとは打撃。一発で仕留められる集中力を磨かないといけない」

 近大を中退後に半年間、とび職に就いた異色の経歴を持つ。日給8000円で、15階建ての高層建物や吉野川をまたぐ橋に上った。「頭も体も使うので、めちゃくちゃキツかったですね」と幅30センチの狭い足場の上での力仕事で、体力と集中力を培った。その時の経験は現在見せる“職人肌”のプレーにも生きている。

 まずはスタート地点に立った。支配下登録後の会見で「(妻は)泣いていて直接話せなかったけど、LINEで家族のために頑張ってくれてありがとうって言ってもらいました。本当は自分がありがとうって言いたいんですけど……」と話した増田。家族を養うため、ここで満足してはいられない。 

写真=BBM

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