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一軍デビュー7試合で見えた清宮の可能性と弱点は!?

 

「マグレではないかなと思います」



 ディクソンの高めに浮いたスライダーを見逃さなかった。5月9日、オリックス戦(京セラドーム)の2回。先頭で打席に入った日本ハムの清宮幸太郎がバットを振り抜くと、打球は右翼席へと消えていった。プロ初打席から24打席目で待望の初本塁打。デビュー戦からの連続試合安打記録も「7」に伸ばし、ドラフト制後では原辰徳巨人)を抜き単独トップに躍り出た貴重な一発だった。

「打った瞬間、という感じでした。これまでいろいろと打席を重ねてきて打てたホームランなので、マグレではないかなと思います」

 打線も清宮の一発で勢い付き、日本ハムは8対2で快勝した。

 清宮の一軍デビューは2日、札幌ドームでの楽天戦だった。映画『スターウォーズ』のテーマ曲とともに打席に入った。相手は球界を代表する右腕・岸孝之。2回に訪れたプロ初打席。1ボール1ストライクからの3球目だった。初スイングで痛烈な打球と衝撃を放った。打球は中堅フェンスに直撃する二塁打。「これから先の野球人生で初心に帰るときに、このヒットをまた思い出せたらいい」というコメントを添えて節目の一打を飾った。

 衝撃は止まらない。翌3日の同戦の7回に訪れた第3打席。それまでまったくタイミングが合ってなかった辛島航のスライダーを今度は右前に運んだ。

「スライダーでやられていたので狙っていました」

 2打席連続で空振り三振に打ち取られた相手の決め球を狙って仕留めた。チームもこの清宮の一打をきっかけに一挙4点を奪って逆転勝ち。価値ある2安打目となった。

 もちろんプレッシャーもあったはずだが、それを感じさせないオーラがある。野球を楽しむ18歳。打ち取られても思わず笑みがこぼれる瞬間が、これまで何度もあった。度重なる体調面のアクシデントを乗り越え、ようやくたどり着いた舞台で勝負に臨むうれしさが表情にじみ出ていた。

「いままで聞いたことがない歓声でうれしかった。甲子園とも神宮とも全然違いました」

 全身を駆け抜けた喜びは秘めるポテンシャルを覚醒させ、2戦目以降も安打をコンスタントに重ねてデビュー戦から6試合連続安打。高卒ルーキーのプロ野球記録を更新した。

 その一方で課題も露呈した。5日のロッテ戦では出塁するも打球判断を誤って痛恨の走塁ミスでチャンスをつぶした。打席でも初本塁打はスライダーをとらえたが、全体的に変化球への対応にも苦慮した。それでも「ヒットを打つという高校のときには当たり前だったことが、いまはなかなかできないでいます。その中でも自分のやりたいことと課題もはっきり見えてきた気がします」と語っていた。

 プロ初本塁打を放って、いよいよ本格的に始まった清宮幸太郎のプロ野球人生。

「もっと、もっと野球がうまくなりたい」

 多くの収穫と経験を糧にしながら18歳の怪物は前だけを見据えて突き進む。

写真=毛受亮介

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