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ファーム一番星

西武・金子一輝 5年目内野手を突き動かした先輩からの言葉/ファーム

 

西武・金子一輝[内野手/5年目/22歳]


打席で粘り強く勝負するのも持ち味だ


 今年、西武第二球場では新たな光景が見られるようになった。星孝典二軍コーチを相手に1日約1時間、7〜8種類のティー打撃に黙々と励む金子一輝の姿だ。今年に入り、キャンプ時に自ら星コーチに懇願した。さらに赤田将吾二軍コーチには「走らせてください」とグリーンライトを願い出て、許可を得た。これもまた、初である。

「野球に取り組む姿勢から、表情、何よりも、試合中に声の大きさがとにかく変わった。誰が見ても、『一輝、変わったなあ』と思えるぐらい」と同コーチはじめ、二軍監督、首脳陣、チームメート全員が認める。

 その変貌が見事なまでに結果にも表れている。過去4年、打率2割前後だった選手が、と5月10日現在、イースタン・リーグ3位の打率.333を誇り、9盗塁はリーグトップ。「あれだけ練習すれば、きちんと結果が出ることを目の当たりにして、ファーム全体にものすごく良い影響を与えてくれている」と潮崎哲也二軍監督も目を細める。

 間もなく23歳になる5年目内野手を突き動かしたのは、昨季一軍で結果を残した先輩・水口大地の一言だった。昨年末の納会で「俺がこれだけできたんだから、一輝はもっとできるはず。俺はずっと見ていた。一輝にも変わってほしい」と言われた。

「ちゃんと見ていてくれる人っているんだ。このまま中途半端で終わるのは嫌だ」

 今年を“最後の年”と自らを追い込み、後悔ない1年にすることを決意した。

「今にして2、3、4年目とムダにしてしまったなと思いますが、もう過去には戻れない。1日1日、その日やることをしっかりとやり切るだけです」

『今年こそ一軍』――。

 体裁を気にして言い続けてきた目標が、相応の努力を伴い、現実味を帯びている。

文=上岡真里江 写真=BBM

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