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立浪和義コラム

ヤクルトはリーグ戦でも勝ち続けることができるのか?/立浪和義コラム

 

交流戦で投打がかみ合う


復調した川端選手の存在は大きい


 今回は交流戦を最高勝率で終えたヤクルトについて書いてみます。

 昨シーズン96敗で最下位。負けまくったチームですが、小川淳司新監督の下、僕のPL学園高の後輩でもある宮本慎也をヘッドコーチし、広島から石井琢朗河田雄祐両コーチを招へいと首脳陣は一新しながらも、選手の大きな補強は、外国人とメジャーから復帰の青木宣親選手くらいでした。

 これは現有メンバーにそれなりの自信があったからだと思います。昨シーズンの低迷の最大の要因が故障者の続出だったことは確かです。彼らが戻り、かつ宮本ヘッドをはじめ、新コーチ陣の厳しい指導で意識改革が進めば、十分戦えるということだったのでしょう。

 しかし、結果的にはやはり故障者が出てしまい、加えて、もともと手薄だった投手陣の大不振で、交流戦まで17勝26敗1分と大きな借金を作っての最下位になっていました。それが交流戦は12勝6敗と、まるで別のチームのようでした。

 最大の強みは完全復調した強力打線です。青木選手、山田哲人選手、バレンティン選手、坂口智隆選手、中村悠平選手に加え、離脱もあった川端慎吾選手、雄平選手、畠山和洋選手が戻り、さらに若手遊撃手の西浦直亨選手が出てきた。名前を並べただけで凄みが伝わります。12球団トップレベルの打線ですね。特に川端選手が復調したことで、一気に状態が上向きになりました。

 課題と言われた投手陣も、相変わらず先発の頭数には物足りなさがありますが、石山泰稚選手を抑えにし、近藤一樹選手、中尾輝選手らでつなぐ勝利の方程式を作ってから安定しました。

 選手は勝ち試合で自信をつけていきます。もう交流戦前のような戦いはないでしょう。

残念だった再開初戦


 ただ、ヤクルトがこれから優勝争いに加わっていこうと思っているなら、残念だったのが、6月22日、リーグ戦再開初戦の巨人戦(東京ドーム)でした。

 先発にソフトバンクから移籍し、今季初登板の山田大樹選手を起用。相手が菅野智之選手で勝算が高いとは言えず、巨人が伝統的に初顔の左腕に弱いという傾向があるのも確かです。ただ、石川雅規選手でもハフ選手でもいいのですが、首脳陣が「この試合は勝ちにいくぞ!」と意思表示をするような起用にしてほしかったですね。

 勝敗ではなく、首脳陣がはっきり戦う姿勢を相手にも選手にも見せる必要がある試合がシーズンの中にはいくかあります。あのゲームはそういう位置づけだったと思います。

 もちろん、シーズンはまだまだ長い。宮本コーチも、そういう勝負の綾を知っている男です。巻き返しに期待しています。

写真=BBM

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