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【心揺さぶる名言】板東英二「ジャイアンツに勝てば商売繁盛」

 


 高校時代に夏の甲子園で決勝まで全6戦を一人で投げ、計83奪三振の大会記録を樹立した板東英二は、1959年に鳴り物入りで中日に入団。

 プロ1年目は4勝に終わったが、2年目は前半戦で9勝と好調。特に巨人戦での力投が光り、当時のインタビューでその理由を「ジャイアンツに勝てば商売繁盛。サラリーようけもろたろ思えば、打倒巨人以外に手がないですわ」と語っている。

 絶対的な強さを誇る巨人を倒せばチーム内での評価が上がり、登板が増え、自然と給料も上がる――。二十歳になったばかりとは思えない商売っ気むき出しの発言であるが、板東はそのころすでに、今では語り草となっているサイドビジネスにも手をかけていた。

 最初はオフシーズンを利用したジュークボックスの販売で、各地の旅館を自ら訪ねて売り歩いた。その後、サウナやナイトクラブ、麻雀荘、割烹料理店などを展開し、牛乳の宅配業なども行った。

 副業に力を注ぐようになったきっかけは、2年目で初出場した60年のオールスター。第2戦に7回二死から登板すると、安打とランニング本塁打を浴び一死も取れず降板。その結果以上に衝撃を受けたのが、周囲の選手たちの大きさだった。身長167センチの板東より小さい者はほぼおらず、その体格差に自らの限界を感じたと後に明かしている。

 現役生活11年で通算77勝。投手としては大成できなかったが、引退から50年近くを経てもタレントなどとして活躍を続ける。小さな体で夏の甲子園を投げ抜いたスタミナと、並はずれたハングリー精神は今も健在である。

写真=BBM

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