週刊ベースボールONLINE

早大が33年ぶりの15失点。ちょうど50年前の法大戦では20失点!田淵、山本浩らの餌食に

 

文=大内隆雄


 今回は大学野球のお話を一席。東京六大学野球春のリーグ戦は、この号が出るころには、第5週を終えているハズだが、昨秋、最下位に沈んだ早大は、この春も絶不調。立大と明大にあっさり勝ち点を奪われてしまった。ひどかったのは、4月29日の明大2回戦。3対15の惨敗。被安打21というのもひどかった。早大の15失点は、85年春の法大2回戦以来、21被安打は87年春の慶大3回戦(23被安打)以来だそうな。いずれも30年以上も前の昔のこと。

 しかし、筆者はこの程度では驚かない。ちょうど50年前の68年春のシーズンだった。4月27日の法大1回戦。早大は先発の小川邦和(尾道商高)が初回に打たれるわ、打たれるわ。8安打され1イニングも持たず(2/3)に降板。リリーフの安田猛(小倉高)も打たれ、この回9失点。2投手とも、のちにプロで活躍する選手である。早大の投手は2回以降も打たれ続け、投手陣の失点はなんと20点! 15失点なんて小せえ、小せえなのだ。しかも、早大打線は法大の山中正竹(佐伯鶴城高)、横山晴久(小倉工高)にシャットアウトされるみっともなさ。20対0。これは完封試合の最多得点差試合として六大学史上にサンゼンと輝いている!?。

 実は、これが筆者が初めて生で見た六大学の試合。何が六大学の盟主だ。ワセダの野球部は恥を知れ! だった(翌年、その早大生になるのだが……)。それにしても小川、安田らをメッタ打ちにした法大にはどんな打者がいたのか、と読者は気になったことだろう。この試合の法大打線、三番・富田勝(興国高)、四番・田淵幸一(法政一高)、五番・山本浩司(のち山本浩二、廿日市高)。まあ打ちますよね。ほかにも堀井和人(明星高)、野口善男(PL学園高)とプロ入りした選手が出場している。

 この試合で法大打線は21安打。奇しくも、4月29日の試合の早大投手陣の被安打数と同じ。早大には谷沢健一(習志野高)、荒川堯(早実)、阿野鉱二(明星高)らの強打者がいたのに零封。大学野球の不思議なところである。両校の出場選手中、プロ入りしたのが13人。レベルは高かった。写真のガリガリの人はだれ? 法大2年時のタブチくんです。この細い体で軽々と外野席の上段まで飛ばした。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング