
後半戦に調子を上げ、5年ぶり優勝に貢献した巨人のA.ゲレーロ
安堵と喜びが両眼からあふれ出た。9月16日の
阪神戦(東京ドーム)に「六番・左翼」で先発したA.ゲレーロは、クールな表情の裏で“崖っぷち”に立つ重圧と戦っていた。
1点を追う8回二死一塁で迎えた第4打席。阪神・ジョンソンが投じた151キロの直球が高めに浮いたのを逃さなかった。左中間席中段に運ぶ逆転の20号2ラン。「非常に感動的な一打になった。特に昨日、得点圏でまったく打てずに負けたから」。打った瞬間にバットを投げ捨て、雄叫びを上げた助っ人は本塁ベースを踏むと目頭を押さえ、スタンドへ投げ入れるジャビット人形を受け取ることも忘れ、ベンチ裏へ駆け込んだ。
前日の
広島戦(東京ドーム)では7回と9回のチャンスで凡退し、敗戦。試合後に
原辰徳監督は「勝負強い人、勝負弱い人がはっきり見えた」と厳しい言葉を言い放った。ゲレーロは逆転弾を放つ前の6回一死満塁でも空振り三振に倒れるなどその日も無安打が続いていた。それでも「監督が使い続けてくれたことに感謝したい」と、最後は大砲のプライドをバットに込め、試合をひっくり返した。
原監督は涙を浮かべた助っ人の一発に「ああいう勝負をみんなしてるということですよ。まさにチームにとっても、彼にとっても起死回生というところでしょう」と両手を叩いた。前半戦42試合で18打点も、後半戦は47試合で36打点(9月24日時点)。2017年の本塁打王が、後半戦の戦いでV奪回に大きく貢献した。
写真=BBM