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派手なプレーよりも普通に見えるプレーを量産できるのが名手たる所以だ
谷内亮太は守備のすごさは、堅実なプレーに徹し続けられることだ。時には打球をダイビングキャッチしたりすることもあるが、多くは派手なアクションよりも、的確なポジショニングと無駄のない動きで着実にアウトを奪う。今季も固い守備が光るが、そういった普通に見えるプレーを量産できるところが、他の選手と比べて普通ではないところだ。
昨オフ、2022年シーズンの“ある好プレー”を振り返って、次のように話していたことがある。「僕の場合は毎日の積み重ねの守備が一番大事。堅実に積み重ねながら勝負どころで、ああいったプレーが出れば一番いいかなと」。そのプレーは昨年7月10日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)で飛び出した。
2点リードの9回二死満塁の大ピンチで三塁守備に就いていた谷内は、代打・
松田宣浩の三遊間を抜けそうな打球を横っ跳びで好捕。すぐに立ち上がって一塁でアウトとし、チームを勝利に導いた。こんなプレーも、常に堅実に、やるべきことをやっているから瞬発的に繰り出せる。さりげない守備の多くが、実は好プレーだったりするのが谷内の守備だ。
そんな守備職人でもミスは付きものだが、それを取り返すメンタリティーを持つ。今季は4月19日の
ロッテ戦(エスコンF)で珍しく失策したが、その後の打席で2打席連続適時打。失敗したままで終わらない強さがあるから、昨年の契約更改の席でも球団から「チームにとって不可欠な存在」と言われる。スタートダッシュに失敗したチームだが、巻き返しに谷内の存在は不可欠だ。
写真=BBM