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野球浪漫2025

オリックス・才木海翔 挫折と反骨心を胸に「プロで絶対見返してやろう。それしか思わなかった。逃げずに本気で練習しようと」

 

支配下2年目の今季、38試合に登板してプロ初勝利を含む2勝、4セーブと大きく飛躍。将来の守護神を嘱望される右腕は、これまで幾多の試練を乗り越えてきた。決して「逃げたくはない」。これから先も──。
文=阪井日向(スポーツニッポン新聞社) 写真=早浪章弘、佐藤真一、BBM


兄貴分を追い日進月歩


 今年のオリックス救援陣で大きな存在感を示したのが、育成出身の入団3年目右腕・才木海翔だ。6月14日にシーズン初昇格を果たすと、イニング途中の火消しをメインに、昇格から10試合連続無失点と無双。勝ちパターンの一角に登り詰めると、シーズン終盤にはマチャドに代わって守護神を託される機会も経験した。

 開幕前までプロで未勝利、未セーブながら最終的に38試合の登板で2勝1敗4セーブ、11ホールドで防御率1.87と堂々の数字を記録。「去年は2本塁打を打たれたけど今年は結果的に被本塁打1本で終われて、防御率も5.09から今年は1点台で終われた。収穫になったので、来年につなげられるように」。CSファーストステージでは1度も登板機会が訪れることなく、チームは敗退。翌日、北海道から帰阪する際に右腕は、現状に満足することなく今後を見据えていた。

 兄貴分たちの背中を追い、日進月歩で成長を続けたシーズンだった。「亜(九里亜蓮)さんに投げ方を教えてもらったりもしていますし、トレーニングも一緒にやらせてもらって、その辺が自信につながり出している」と語ったのが、初昇格から約1カ月がたった7月のある日。投球時に体が開きがちになる悪癖を克服しようと質問し、FAで今季からオリックスに入団した右腕に練習メニューなどから数々の助言を受けていた。「こういうトレーニングをしたほうがいいとか、聞いたらアップ前とかでも付きっきりで全部教えてくれる。聞いたらちゃんと納得できる答えが返ってくるし、ついていこうと」。ほかにも山岡泰輔に投球の間合いを学ぶなど、身近な手本から数々の技術論やメンタルの持ちようを吸収し、自らの糧としていた。

 そしてもう一人、才木に絶大な影響を与えたのが、今季途中に中日から金銭トレードで加入した岩嵜翔だ。練習メニューの大半を共にするだけでなく、岩嵜が試合に登板する直前まで後ろをついて学ぼうとし、いつしかファンの間で「カルガモ親子」と名付けられるほど、百戦錬磨の18年目右腕を追い続けた。

「男としてかっこいい。見た目もですけど(笑)。野生の勘というか、直感的な部分ですね。最初のあいさつのときに、ビビッとくるものがあった」

 岩嵜からは「勝ちパターンの人が負けている場面で投げ出すと、ちょっと気持ちが入らなかったりするときがある。それって、最初試合に出だした頃って、絶対そういう思いで投げていないよね」と、精神面でも与えられた気づきがあった。今季自己最速を更新する160キロを計測するなど、新天地で躍動を続ける先輩に感化されるように、グラウンド内外で「動く教科書」から学び続けていた。

「翔(岩嵜翔)さんとか(九里)亜蓮さんとかに教えてもらっている分、結果で返さないとアカンから。やっぱりあの2人が来て自分も変わったと思うし、引き出しもできた。周りで見てくださっている人たちにいろいろ教えてもらったおかげで、この結果があると思うので」

いばらの道を乗り越えて


 大阪府・豊中市出身の25歳。幼稚園からの幼なじみが野球を始めたことをきっかけに・・・

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