80年を超えるプロ野球の歴史は、それぞれの球団、それぞれの監督や選手たちが紡いできたものだ。1人1チームを原則に、名将、名選手たちが時空を超えて集結。オールタイムの“優勝チーム”を探してみよう。 押し寄せる青波
2004年の球界再編で近鉄を“吸収”する形となり、オリックス・バファローズとなって05年に再出発。現チーム名となってからの優勝はなく、ここでは1989年からのオリックス・ブレーブス時代、91年からのオリックス・ブルーウェーブ時代のメンバーが“加勢”して、オリックス時代としてベストオーダーを選出する。
勇者と猛牛の遺伝子を受け継ぐチームだが、95年からのリーグ連覇、96年の日本一を経験した選手が中心で、現チーム名を知る選手は2人だけとなった。
【ベストオーダー】
監督・
仰木彬 一(右)イチロー
二(二)
福良淳一 三(中)
谷佳知 四(指)
石嶺和彦 五(一)
藤井康雄 六(左)
田口壮 七(遊)
小川博文 八(捕)
中嶋聡 九(三)
大島公一 投手
星野伸之 リードオフマンはイチロー。もはや多くを語るべくもない世界のヒットメーカーだ。二番打者の候補は二塁にも重なるのが福良淳一と大島公一で、現在の監督でもある福良を残し、大島は二番に続いて多かった九番と現役終盤に守った三塁に回った。
三番の候補はオリックス・バファローズを知る好守巧打の田口壮と安打製造機の谷佳知で、ともに外野手だ。ここでは田口が日本一イヤーに一番の次に多かった六番に。左翼に田口、中堅に谷、右翼にイチロー、90年代前半に外野陣のリーダーだった
本西厚博も控えていて、外野陣は鉄壁だ。
四番、五番には通算200本塁打を超えた長距離砲が並ぶ。阪急の面影も濃く残る指名打者の石嶺和彦に、外野や一塁を守りながら通算満塁本塁打14本を残した藤井康雄の強力クリーンアップだ。
四番・指名打者では日本一に貢献した
ニールもいた。ここでは一塁に入った藤井のポジションをうかがっているのが現役のT-岡田で、18年からは一塁に挑戦、通算200本塁打も射程圏に入っている。田口を挟んで七番には全打順本塁打の小川博文。守備では三塁や二塁もこなしたが、ここでは本職の遊撃で本領を発揮する。
遊撃や三塁をうかがうのは現役の
中島宏之と
小谷野栄一で、すべてのキャリアでは内野陣でも筆頭格。生え抜きでは遊撃手の
安達了一、外野手の
後藤駿太らが安定した出場を続けており、勢力図が一変する可能性も低くない。
オリックスとバファローズと

オリックス・仰木彬監督
バッテリーはブレーブス、ブルーウェーブを経験し、連覇に導いた星野伸之と中嶋聡。“本格派”左腕の星野が投じたスローボールを中嶋が素手で捕ったエピソードも残るバッテリーだ。
ブルーウェーブ勢にはゲーム19奪三振のプロ野球記録を残した
野田浩司やメジャーでも活躍した
長谷川滋利、リリーバーではV戦士の
平井正史や
小林宏もいる。
投手陣では現役のバファローズ勢も負けていない。現役エースの
金子千尋は星野のオリックス通算133勝に迫り、スターターではノーヒットノーラン経験者の
西勇輝、クローザーでは18年からダイヤモンドバックスでプレーしている
平野佳寿もいる。
率いるのは仰木彬監督。オリックス・バファローズ初代監督でもあるが、近鉄バファローズの優勝監督でもあり、何よりブルーウェーブの連覇、日本一監督だ。チーム最大の功労者を陣頭に、イチローから始まる“新ブルーサンダー打線”と、現役もフル回転する投手陣で、“初優勝”に挑む。
写真=BBM