「スタンドまで届いていました?」

記念すべきホームランボールを手に笑顔を浮かべる高木(球団提供)
一直線に伸びていった打球はそのままバックスクリーンのスタンド席まで届いた。9月12日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)の5回、プロ入り初本塁打を放った
高木渉。「手ごたえは完璧でした。ただ、あの打球が入るんですね……。(テラス席ではなく)スタンドまで届いていました?」。打球が最後、どこまで飛んだかは分からなかったという。
8月13日の
楽天戦(メットライフ)でプロ入り初安打を放った高木は翌日の同カードで猛打賞の活躍でヒーローに。ところが右足首を痛めて15日に登録を抹消され、再びファームでの調整が続いていた。
8月下旬に実戦復帰。DHでの起用が多かった高木だが、「打撃の感覚は(8月に)一軍に昇格したときと同じくらい調子がいい」と手ごたえを感じていた。一軍に昇格する直前の9月9日、
巨人三軍との試合では4打数2安打。第2打席で左投手の高めの直球をとらえてライナーで打ち返したライト前ヒットの感触が良かった。「カウントも有利だったので良かったです。状態がいいですね」と明るい表情を見せていた。

武田翔太の真ん中低め146キロの直球をとらえた打球はバックスクリーンへ着弾。見事なプロ初本塁打だった(写真=BBM)
ファームでの高木は、試合を終えるとウエート・トレーニングを行い、食事を摂ったあとは寮の自室で自分と向き合う時間を大事にする。「部屋に戻ったら、自分の打撃を見直しや、相手投手の研究などを気づいたらしていますね。ルーティンの1つになっています」。まさに四六時中、野球中心。当たり前といったらそれまでかもしれないが、野球に向き合い、取り組む時間が昨年に比べ格段に多くなっている。
「プロ初ホームランは(自分の描いていたイメージより)早く打てたと思います。8月の半ばにケガで離脱してしまい、チームに迷惑をかけてしまった。それを取り返すことができればいいですが、自分の若さを活かして精いっぱいプレーしたいです」
CAR3219フィールドで日々鍛錬を重ねた結果、PayPayドームのホームベースから122メートル先にある高さ5.84メートルのフェンスを越える大きな弧を描いた高木。故郷で放ったこの一発を自信に、2本目、3本目がこの男のバットから生まれることを期待したい。
西武ライオンズ