危なげないピッチング

2月21日、ヤクルトのオープン戦に先発した山崎
自身初の開幕投手に向け、視界良好だ。
巨人・
山崎伊織がオープン戦初戦となる2月21日のヤクルト戦(那覇)で先発登板し、2回2安打無失点に抑えた。
初回に一死一、二塁のピンチを背負ったが、
赤羽由紘を外角直球で見逃し三振に仕留め、
ホセ・オスナの中堅への大飛球は
松本剛が好捕した。2回は
北村恵吾を投ゴロ、
古賀優大を3球三振、
武岡龍世を一ゴロと危なげない投球で三者凡退。最速149キロを計測した直球で2つの三振を奪うなど力強い投球が印象的だった。昨年のオープン戦は5試合で防御率6.48と不安定な投球が続き、先発ローテーション入りが危ぶまれただけに、本人もホッとしただろう。
昨年は3年連続2ケタ勝利をマーク。25試合登板で11勝4敗、防御率2.07はキャリアハイの数字だった。初先発となった4月2日の
中日戦(バンテ
リン)で8回無失点の快投を見せると、その後の登板でもスコアボードにゼロを並べ続けた。4月30日の
広島戦(東京ドーム)で1963年の
中井悦雄、2023年の
村上頌樹(共に
阪神)のセ・リーグ記録31イニングを更新し、最終的には36イニングまで開幕からの無失点記録を伸ばした。エースとしての役割をまっとうしたが、さらに上の水準を目指すなら夏場以降の登板で安定感を高めたい。8月は防御率4.98、9月は防御率4.18と集中打を浴びる登板が散見された。
巨人のエースの姿とは

2024年には15勝を挙げてV奪回の原動力になった菅野
今年は球界を代表するエースへの飛躍が求められる。東海大の先輩・
菅野智之(ロッキーズ)は巨人時代に最多勝、最優秀防御率を4度獲得し、沢村賞を2度、MVPを3度受賞。24年に15勝3敗、防御率1.67と復活劇を飾り、4年ぶりV奪回の原動力になった。菅野は巨人でプレーした12年間について、「どうですかね、難しいですね。ただ成績だけで見たら、いいシーズンも悪いシーズンもあったんでしょうけど、やっぱり安定はしてたんじゃないですか。本当にダメだったのって多分、1シーズン(2023年)だけだと思うので。それ以外のシーズンでは全部100イニング以上投げていると思いますし、防御率も安定していたと思います」と週刊ベースボールのインタビューで振り返った上で、エースの定義について以下のように語っている。
「僕は内海さん(
内海哲也、現投手コーチ)が“ジャイアンツのエース”だと言い続けていましたし、内海さんの姿というのは、ジャイアンツに限らずどの野球選手にとっても参考になったと思います。
西武に行かれてからも変わらなかったと聞きますし。どんなに打たれたときでも、体調が悪かろうが何をしようが、真っ先にグラウンドに来て練習している姿。成績じゃないと思うんですよ。もちろん結果は大事だと思います。やっぱり勝てるピッチャー、阿部監督は『大事な試合で勝てるピッチャーがエースだ』というふうにおっしゃっていますけど、それもそうだと思います。でも僕も、この何年間か分からないですけど、エースと呼んでもらえた。自問自答しながら、巨人のエースとはどんなものなのかということを、葛藤してきました。正直、答えは見つからなかったです。でもやっぱり、求められる結果であったり、グラウンドでの振る舞いが答えだったんじゃないかな、と僕は思うので」
生命線は制球力
山崎は内海や菅野と違った色がある。生命線は制球力だ。自身の投球スタイルについて、こう語っていた。
「そんなめっちゃ速い球を投げられるわけではないですし、すごい変化球をいくつも持っているわけではないので、やっぱり制球、コントロールという部分はある程度しっかりしていないといけないですから。もちろんフォアボールを出さないために、甘いボールでもゾーンに投げることが正解ではない。そのバッターが空振りするゾーン、強い打球を打てるゾーン、前に飛ぶゾーン、いろいろある中で、例えば空振りするはずのゾーンに投げてもスイングしてこなかった。それでカウントが悪くなり、フォアボールを怖がって甘いゾーンに行き、長打を食らう、というのが一番ダメですから」
個人タイトルも十分に狙える右腕が、V奪回に向けて投手陣を牽引する。
写真=BBM