期待が大きい助っ人右腕
球団史上初のリーグ連覇を目指す阪神のカギを握るのが、「勝利の方程式」だ。昨年50試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立した
石井大智が紅白戦で「左アキレス腱損傷」により戦線離脱。実戦復帰に時間が掛かるとみられ、自身初のWBC出場が決まっていた侍ジャパンも辞退した。
絶対的なリリーフエースを欠いたダメージは大きい。この穴をどう埋めるか。セットアッパーとして期待が大きいのが、新外国人右腕のダウリ・モレッタだ。主に救援でメジャー通算112試合登板の実績を持ち、伸びるような軌道で大きく曲がるスライダーは魔球と形容される。春季キャンプでコンディションが上がり、直球の球速が上がってきている。モレッタは「日本でプレーすることは、私の長年の夢であったので今回実現できたことに大変興奮しています。熱狂的なタイガースファンの前でプレーするのを楽しみにしています。チームの連覇に少しでも貢献できるように精一杯頑張ります」と阪神入団が決まった際に意気込みを口にしていた。明るい性格でチームにすっかり溶け込み、大きなプラスアルファをもたらしそうだ。
若手リリーフにも有望株
一軍キャンプスタートとなった若手の
工藤泰成、
木下里都、
石黒佑弥にかかる期待も大きい。工藤は育成ドラフト1位で入団した昨年にオープン戦で結果を残し、支配下に昇格。フレッシュオールスターで自己最速の161キロを計測した。一軍では18試合登板で0勝2敗、防御率3.31。投球の精度を高めることが課題だが、常時150キロ中盤を計測する直球を武器にスケールの大きさを感じさせる。将来の守護神候補として大ブレークできるか。

1年目の昨季は11試合の登板に終わった木下
同じくプロ2年目の木下里都も直球が武器のパワーピッチャーだが、工藤と球質が異なる。球速が速い上に打者の手元で微妙に動くため打者はコンタクトが難しい。昨年は11試合登板で防御率3.29。工藤と同様に良い球を投げる再現性を高めることが課題だ。石黒は球のキレで勝負する本格派右腕。カットボール、フォークの質も高い。昨年は8試合登板にとどまったが、ウエスタン・リーグで19試合登板して防御率1.50をマークしている。
他球団のスコアラーは「阪神は救援陣の質が高い。若手は未知数な部分があるので1年間を通して計算はできないが、実績のある投手たちがそろっているので戦力が大きく落ちることはないでしょう」と話す。
中継ぎタイトルを獲得している実績組

昨季は22ホールドの湯浅。通算100ホールドまでは残り32だ
難病からの完全復活に向け、順調にステップアップしているのが
湯浅京己だ。2024年に国指定の胸椎黄色靱帯骨化症の手術を受け、昨年は40試合登板で4勝4敗、22ホールド、防御率2.52をマーク。「真っすぐの感覚が納得いかない部分が多い。体も疲れやすいし、手術した部分がその周りも含めて硬くなりやすい。そこはうまくやりながらですね」と現実を直視した上で、「元に戻りたいとは一切思わない。もっといいものをつくるためにやっていきたい」と強調していた。22年に45ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手に輝いている。修羅場を経験している右腕は大事な場面での起用が増えそうだ。
桐敷拓馬もキーマンの一人だ。24年はリーグ最多の70試合登板して43ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手を受賞したが、昨年は故障の影響で43試合登板、13ホールドと不完全燃焼に。桐敷は週刊ベースボールのインタビューで、「調子が悪くても淡々と抑える、岩崎(
岩崎優)さんがまさにそうで、それがすごみでもあります。自分もそうなれたらと思います。僕の中では『あ、今のボールは投げたいのと違った』ということが多いです。ただそれをいちいち気にしていたら、よくないので、まずは0点に抑えることが一番大事。一方で、悪いボールでも相手打者が打ち損じたりします。それもラッキーですが、そこもまあ、0点で抑えられたらそれでいいという考えで投げていけたらいいかなと」と語っている。鉄腕が復活すれば、リーグ連覇がグッと近づく。
阪神は投手陣の層が厚い。春季キャンプではドラフト5位右腕・
能登嵩都がアピールし、
ラファエル・ドリス、
畠世周、
岡留英貴も控えている。開幕前からチーム内の熾烈な競争は始まっている。
写真=BBM