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2016年ドラフト総決算

オリックス1位・山岡泰輔(東京ガス・投手) プロの世界で証明する「小さな大エース」の矜持

 

高校時代もドラフト上位候補に挙がったが、プロ志望届を提出せずに社会人を選択。アマ最高峰の厳しい世界でプレーした3年間は財産だ


巨人・田口、楽天・松井同世代への熱きライバル心


 ダルビッシュ有(現レンジャーズ)が高校生離れしたスライダーを、ツイッター上で話題にした2013年夏の甲子園から3年が経過。山岡泰輔がいよいよ、プロのスタートラインに立った。ドラフト会議では12球団の先陣を切って、オリックスから「いの一番」で1位指名を受けた。

「食堂でみんなと(中継を)見ていて、びっくりすると同時に不安と緊張が一気に解けました」

 ドラフト直前、最後のアピールの場となった10月3日に行われた横浜DeNAベイスターズとの練習試合[横浜]では10球団のスカウトが見守る中、3回11安打5失点とプロの一軍を相手に失点を重ねた。ロペス、筒香嘉智をはじめとするDeNA打線はクライマックスシリーズを控え“仕上がった”状態だけに山岡の評価が崩れることはなかったものの「本当に指名されるのか……」という気持ちはどこかにあった。それだけに「高く評価していただきすごくうれしいですし、自分の中でも自信になりました」という言葉は正直な気持ちだろう。

 中野東小2年でソフトボールを始め、瀬野川中では軟式野球部に所属。瀬戸内高では1年秋からエースとなった。その名が全国に知れわたったのが3年の夏だ。広島大会決勝で広島新庄高のエース・田口麗斗(現巨人)と延長15回引き分け再試合の熱戦を経て、翌日の決勝で完封(1対0)し甲子園出場。ほかにも同世代には、田口とともに18Uワールドカップ(台湾)で同じユニフォームに袖を通した桐光学園高の松井裕樹(現楽天)がおり、彼らをベンチマークに社会人で腕を磨いてきた。

「プロでは18Uワールドカップで一緒に戦った松井と投げ合うことができたらいいな、と思っています。リーグは違いますが、田口とも対戦する機会があれば楽しみです」と心待ちにする。特に田口は今季、自身初の2ケタ勝利をマークし、闘争心がくすぐられる存在だ。「彼らの活躍は励みになるし、自信にもつながります」と目を輝かす。

社会人No.1右腕に対する福良監督の期待感


 野球をプレーするうえで山岡の原動力となっているのが、「僕のような体の小さな投手がプロで活躍すれば子どもたちも夢が持てる。体が大きい人は速いボールを投げて当たり前。小柄な選手は不利、というのを覆したい」という思考だ。身長172センチ体重68キロの小さな投手は競争の世界で生き残るために、ライバルより速いボールを投げ、バットにかすらせない変化球を身に付けた。

 指名会見では自分のアピールポイントを「僕は体が小さくて、それを目いっぱいダイナミックに使って打者に攻め込んでいくスタイルが武器」と語り、あこがれの投手に前田健太(現ドジャース)の名前を挙げた。

「あのキレがある真っすぐが理想的です。まだ僕の真っすぐは理想ではない。これから磨いていきたい」

 社会人では2014年の入社1年目から都市対抗で登板機会を得るとリリーフとして4試合で2勝、チームの8強進出に貢献した。3年目の今年は、先発とリリーフにフル回転。準決勝までの全4試合で22回を投げ23奪三振、自責点3、防御率1.23と結果を残した。

 社会人No.1右腕を一本釣りしたオリックスは、福良淳一監督が指名から約2時間後、「いの一番」で指名あいさつに訪れ、期待の高さをうかがわせた。「開幕一軍、ローテに入ってほしい」と話す指揮官は、金子千尋西勇輝に続く先発の一枠を託す腹づもりだ。

1位指名された夜、オリックス・福良監督から指名あいさつを受け、固い握手を交わした。1年目から「即戦力」としての期待は大きい


 山岡自身はオリックスについて「未知のチーム。入ってみないと分かりません」と語りながらも「日本を代表する投手がいる。少しでもチームの勝ちを増やすことができれば。まだ具体的な数字はピンときませんが、周りからあこがれられる投手になるのが目標です」と落ち着いた口調で話した。

 夢の舞台で対峙する一流打者との対戦、さらには、ひと足先にプロの一線で活躍する同級生との投げ合いに、心を躍らせている。

PROFILE
やまおか・たいすけ●1995年9月22日生まれ。広島県出身。172cm68kg。右投左打。中野東小2年でソフトボールを始め、瀬野川中では軟式野球部で投手兼遊撃手。瀬戸内高では1年秋からエースとなり、3年夏に甲子園に出場した。2014年に東京ガスへ入社。1年目から都市対抗のマウンドを経験、抑えとして8強入り。社会人2年目は先発に回り、3年目の都市対抗ではチームを4強に導いた。国際大会での経験も豊富で各カテゴリーで侍ジャパンに選出。
取材・文=滝川和臣、写真=栗山尚久
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