オリックス・山岡泰輔、中日・柳裕也だけではない。開幕から先発ローテーションに食い込む力を持った新人たちはたくさんいる。ただし、順調に飛び出しアピールしている者、壁にぶつかり足踏みしている者と、現時点の立ち位置はそれぞれ違う。ちょっとしたきっかけで飛び出し、逆に急降下するのが、“若さ”でもある。果たして、開幕時にはどうなっているのか。彼らの現状をチェックしていこう。 ロッテ・佐々木千隼 先発定着へ変わらぬ期待

佐々木千隼 ささき・ちはや●1994年6月8日生まれ。東京都出身。181cm83kg。右投右打。日野高から桜美林大を経てドラフト1位でロッテ入団
悩み多きここまでの道のりだった。キャンプ序盤はフォームが固まらず、コントロールがばらついた。
涌井秀章や
小林雅英投手コーチに自らアドバイスを求めたのも、悩みの深さゆえだったのだろう。しかし、2月14日に初のフリー打撃に登板すると風向きが変わる。「ブルペンよりいい投球ができた」と納得の投球を披露した。
2月26日、
巨人とのオープン戦[那覇]ではエラーの走者に生還を許したが、
マギー、
阿部慎之助、
ギャレットを抑え込み1回を無安打。初先発となった3月4日の中日とのオープン戦[ナゴヤドーム]では3回3安打、無失点と上々の投球を見せ、「無失点で抑えられてよかった」と安堵の表情を見せた。
伊東勤監督も「(先発ローテ争いに)生き残った」と、変わらぬ期待を寄せている。
ソフトバンク・田中正義 黄金ルーキーの戸惑い

田中正義 たなか・せいぎ●1994年7月19日生まれ。神奈川県出身。右投右打。186cm90kg。創価高から創価大を経てドラフト1位でソフトバンク入団
各球団のルーキーが開幕へ好アピールを続ける中、即戦力と言われ、昨秋ドラフト第1回入札で最多5球団が競合した黄金ルーキーが苦しんでいる。「すべてが初めてのことで戸惑いが多かった。思うようなペースでできなかった」。ホロ苦の初キャンプを終えた。大器の片りんを感じさせたのは初日のブルペン。ゆったりとしたフォームから解き放たれた白球に、
佐藤義則投手コーチも「(初めて見た印象は)ダルビッシュ(
ダルビッシュ有、レンジャーズ)、田中(
田中将大、
ヤンキース)より上」と絶賛した。佐藤コーチは2人が若手時代の投手コーチでもあり、その言葉には説得力がある。
しかし、実戦が始まると弱点を露呈。制球難、直球と変化球の腕の振りの違い、フィールディングの精度の低さ……。2回4四球と荒れた2月23日の紅白戦後は3日間のノースロー。3月6日現在、対外試合登板はまだ果たしていない。
DeNA・濱口遥大 まだ「候補の1人」

濱口遥大 はまぐち・はるひろ●1995年3月16日生まれ。佐賀県出身。173cm80kg。左投左打。三養基高から神奈川大を経てドラフト1位でDeNA入団
石田健大、
今永昇太に続く大卒サウスポーとして、今季のドラ1に寄せられる期待は大きい。対外試合デビューとなったのは2月15日の韓国・ハンファとの練習試合。先発マウンドに立つと、2回を1安打無失点と上々の内容に、
ラミレス監督は「可能性は高い」と開幕ローテ入りに期待を寄せた。しかし、23日のロッテとの練習試合[宜野湾]でプロの洗礼を浴びる。先発で3回を3安打3失点。毎回の3四球とプロ入り前からも指摘されていた制球力に課題を残した。「真っすぐは抜け球が多く、チェンジアップも今一つ。悪いなりに点数を取られないことが大事」と濱口。現時点で指揮官は「候補の1人」としており、先発の一枠をつかむためには、オープン戦での「結果」が求められるだろう。
阪神・小野泰己 課題を修正できれば開幕から

小野泰己 おの・たいき●1994年5月30日生まれ。福岡県出身。184cm75kg。右投右打。折尾愛真高から富士大を経てドラフト2位で阪神に入団
金本知憲監督は「一軍で使わないともったいない」と言う。ただ、それが先発なのか中継ぎなのか――。オープン戦で適性を見極める方針を
香田勲男投手コーチと話し合った。阪神の先発候補は9人もいる。その全員が春季キャンプ中、好調でケガもなく過ごした。オープン戦でふるいにかけていくのだが、そこから抜け出すには未知数の部分が大きい。キャンプの紅白戦2試合では、計3イニングを無安打無失点という完ぺきな内容。そのほとんどを真っすぐで打ち取った。キレと伸びは一軍エースクラス。ただ実戦で打者に向かうと変化球の腕の振りにゆるみが出てしまった。逆に言えば、この部分を残りの期間で修正できれば、5番手、6番手での開幕先発ローテ入りは確実だ。
広島・加藤拓也 投げるほどに上がる評価

加藤拓也 かとう・たくや●1994年12月31日生まれ。東京都出身。176cm88kg。右投右打。慶応高から慶大を経てドラフト1位で広島入団
投げれば投げるほど、その評価を上げている。力強いストレートが持ち味の右腕は当初、救援での起用も検討されていたが、2月14日、19日の紅白戦[天福]、24日のロッテ戦[コザしんきん]で2回無失点。さらに28日のサムスン戦[同]では3回を1安打無失点と好投し、これで実戦4試合で計9回を無失点。先発争いのダークホースとなっている。抜てきを後押しする外部要因もある。先発ローテ入りが濃厚と見られていた
大瀬良大地は右ワキ腹の違和感のため、
福井優也は背中の張りのために別メニューで調整。
緒方孝市監督は28日の試合後に「そこ(開幕ローテ)を目指して頑張ってくれたら」と期待を寄せた。剛腕ルーキーがリーグ連覇に貢献する。
楽天・菅原秀 消えるスライダーで好アピール

菅原秀 すがはら・しゅう●1994年4月5日生まれ。大阪府出身。183cm78kg。右投左打。福井工大福井高から大体大を経てドラフト4位で楽天入団
実戦に入り、その注目度が急上昇しているのが、このドラフト4位右腕だ。圧巻だったのが2月26日、
西武との練習試合[春野]だ。菅原は7回から3番手として登板。味方の失策により走者を許したものの、2回を無安打4奪三振という圧巻の投球。特に光ったのが「学生のころから自信がある」というタテのスライダーだ。梨田昌孝監督が「消えるような球」と説明するとおり、打者の手元で鋭く変化する。2月の時点で早くも自己最速の152キロに迫る151キロをマーク。「この時期にしては速い」と胸を張る。
与田剛投手コーチを「プロでもあれだけ腕を振れる投手はなかなかいない」と驚かせた「背番号45」が、開幕一軍入りへ向け、その投げっぷりで順調にアピールを続けている。