取材・文=寺下友徳、写真=太田裕史 
岡山商大では絶対的エースとして君臨してきた近藤。プロの舞台でもその力を証明するつもりだ
4年間、最も近くで見てきた赤木貫人監督いわく、「速球派だけど変化球投手にもなれる」。最速153キロのストレートと高速チェンジアップ、ツーシーム、フォーク、スライダー、カーブを自在に操る。それが岡山商科大の右腕・
近藤弘樹の大きな魅力だ。それはマウンド上だけに留まらない。ドラフト当日の言動を見ても明らかだ。
前日まで続いた環太平洋大との中国地区大学リーグ一部優勝争い。近藤自身も「秋は無理をさせないことを常に考えていた中で、自分から志願してくれた」(赤木監督)先発マウンドで5回1失点と力投した。
しかし16時48分に会見場へ姿を現した近藤は、やや緊張気味のチームメイト・
蔵本治孝とは対照的にリ
ラックスモード。スイッチが入ったのは17時42分、「正直、びっくりした」
楽天の1位指名が確定した瞬間からである。
「楽天は活発なイメージがあるし、則本(
則本昂大)さんの真っすぐは見ていて素晴らしいと思いますし、自分も学びたい」と謙虚な姿勢を見せる一方で、プロでの目標を問われると「1年目からローテーションを守って2ケタ勝ちたい」と強気な一言。中国地区大学リーグでは1年春からフルシーズン計61試合登板。474回2/3、7081球を投げ29勝を挙げたマウンド上のように堂々とした受け答えだった。
楽天との縁を絆に変えたのは
山下勝充・中四国担当スカウト。「常に150キロ近いボールを投げるし完投できるスタミナもある。与えられたところでしっかり結果を出してほしい」と大きな期待を寄せている。
そんな近藤はある決意も秘めている。大学3年11月・愛媛県松山市で行われた侍ジャパン大学代表候補合宿で同じ釜の飯を食べた
東克樹(立命大)が
DeNA、
齊藤大将が埼玉
西武から1位指名を受けたことについて問われた際、近藤はよりはっきりした口調で答えた。
「東や齊藤はそのまま侍ジャパン大学代表。僕は一次選考落ち。その時点で僕は彼らに一度負けたと思っています。だから、プロでは負けるわけにはいかないんです」
「自分を大きくしてくれた」岡山商大での4年間の正しさを証明するためにも。クールな鎧の下にまとった熱き鉄腕は、東北の地で雄々しく羽ばたく。
理想の育成&起用法
外れ外れ1位ながら、即戦力としての評価は高い。則本昂大、
岸孝之、
美馬学に続く立ち位置を得ている投手はおらず、1年目から先発ローテ争いに絡んでくるはず。
藤平尚真らとその座を争いながらフル回転すれば、2ケタ勝利も期待できそうだ。
PROFILE こんどう・ひろき●1995年6月27日生まれ。
広島県出身。186cm96kg。右投右打。安佐北高時代の最高成績は2年秋の広島県ベスト8。高校時代の持ち球はカーブ、スライダー、チェンジアップ。大学で新たにフォーク、ツーシームを習得し球速も142キロから152キロへ大幅アップした。今春のリーグ戦では7回参考記録ながら完全試合も達成。4年春の選手権大会終了後には中学以来となるキャプテンに就任し名実ともにチームの中心となった。あこがれの選手は
黒田博樹投手(元広島ほか)。