
10回表、二死一、三塁から途中出場の増田大輝がしぶとく中前にはじき返してこの日、初めて勝ち越し。今季デビューのいぶし銀は一塁塁上でガッツポーズ
苦境を救った若き伏兵
この結末は予想できなかった。試合を決めたのは、
坂本勇人でも、
丸佳浩でもない。
原辰徳監督が復帰して、多くの出番を与えられ、一軍に定着しつつあった選手たち。指揮官の恩に報いた、と言えるだろう。まず1点ビハインドで迎えた9回。簡単に二死を奪われたが、キャリアで初めて100試合超えの
重信慎之介が仕事を果たす。ストレートの四球を選ぶと、すかさず二盗。夏場には二塁で先発を重ねた
若林晃弘も四球で続くと、
小林誠司がしぶとく運んだ右前打に二走の重信が反応。タイミング的にはアウトも、頭からホームに突っ込んで捕手・
戸柱恭孝の後逸を誘い、1点をもぎ取った。延長10回は二死一、三塁で支配下昇格3年目でデビューを飾った増田大輝が殊勲者に。
三嶋一輝の低めの直球を叩くと、打球は大きく跳ねて中前へ。「まさか自分が」と自らも驚く優勝を決める一打に指揮官も大きく手をたたいた。

1点を追う9回、二死一、二塁で小林誠司が右前に値千金の同点適時打。逆転勝利(&優勝)への大きな一打だった
10回の決勝のホームを踏んだ
亀井善行の判断も無視することはできない。この回、四球で出塁すると、二進後、岡本の定位置付近への右飛でタッチアップ。右翼手・
梶谷隆幸の肩の状態を把握した上でのスタートで、決勝点につながる三塁への進塁だったと言える。

10回に決勝のホームを踏んだ37歳の亀井善行が、9回に同点のホームを踏んだ重信慎之介とハイタッチ

優勝へ王手をかけて臨んだ一戦で、先発を託されたのは新人でこの日がデビューの戸郷翔征。2点を失ったが、5回途中まで見事な投球だった