社会人1年目は都市対抗、日本選手権、国際舞台でも活躍。2020年ドラフトにおける「ドラフト1位候補」の立場を不動とした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アピールの場は限られるが、与えられた舞台で、全力で腕を振るだけである。 取材・文=岡本朋祐 写真=松田杏子 ルーキー年の都市対抗では2試合に先発。三菱自動車岡崎との3回戦では勝利投手[写真]となり、決勝の先発マウンドも経験している
不要不急の外出の自粛が叫ばれている。街中は静まり返り、閉塞感が漂う世の中だが、あえて「最近、感動したこと」を聞いた。大卒入社2年目の
栗林良吏は興奮気味に話した。
「昨晩は(野球の)スーパープレー集を見てモチベーションを上げていたんですが、今日、会社で新入社員を対象とした規律訓練をしていたんです。『この人たちが、将来のトヨタを担うのか』と……。しっかりとした返事、キビキビとした行動。自分を見つめ直す機会になりました」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、愛知に緊急事態宣言が発出されたのは4月10日。以降、グラウンドほか、施設の使用が禁止になり、13日から1日勤務となった。8時に出社して、17時まで人事課で業務に当たる。シーズンオフは出社が中心となるが、この時期に社業がメーンとなるのは異例だ。「自分ができる仕事は限られてきますが、上司の方が親切に教えてくれる。応援してくれている社員のためにも、野球で活躍して恩返ししたい気持ちが強いです」。同宣言の解除が予定された5月6日まで3週間、キャッチボールはままならず、満足に体を動かすこともできなかった。昼休みに5キロのロードワークが貴重な調整の場だった。
「会社と寮の往復。部屋でできるトレーニングをするしかない。チーム方針で、外に出ることは控えるとの通達がありました。与えられた環境で、どれだけできるか考えています」
トヨタ自動車が出場する予定だったJABA長野大会、JABAベーブルース杯、日本選手権東海最終予選が中止。今後、照準を合わせるのは9月15日からの都市対抗東海地区二次予選。東京五輪が開催されるはずだった2020年、都市対抗は11月5日のドラフト後の同22日に開幕する。153キロ右腕・栗林は2度目のプロ解禁を迎える。アピールの機会は限られるが、焦るつもりはない。
「都市対抗優勝。そのためにやっている。投げる試合は100%。オープン戦を含めて、今年は1回も負けないことをテーマにしています・・・
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