この男の完全復活こそが優勝への大条件だという声も多かった。その右腕がまさかの開幕投手に。開幕戦で勝利をつかめば、チームに勢いが出る。思惑どおりの展開で、チームは快進撃を続けて首位をキープ中。現在登録抹消中だが、やはりこの右腕がチームの運命を握っていそうだ。 取材・構成=椎屋博幸 写真=石井愛子、BBM 
1450日ぶりに甲子園球場で勝利を手にした藤浪。今季は4月16日のヤクルト戦[甲子園]まではしっかり試合を作ったが……4月24日に登録抹消された
今は技術的安定が課題
昨年1勝、一昨年0勝。高卒ルーキーから3年連続で2ケタ勝利を挙げた男が苦しんでいた。昨季中継ぎを経験し復活の糸口をつかんだ。そして今季、糸口を結ぶ作業がいきなりの開幕戦。ここで試合を作ったことで、藤浪晋太郎も阪神自体も勢いに乗った。しかし、藤浪自身はまだ完全ではないという。理想の藤浪晋太郎を完成させている段階だ。 ――大舞台を多く経験している藤浪投手ですが、初の開幕投手は緊張したのでしょうか。
藤浪 自分自身、先発ローテーションに入るかどうかも分からない投手だと思っていた状況の中で「開幕投手」を任せられることになりました。聞いたときビックリしましたし、当日の試合までの約3週間は緊張もしましたし、いろいろなことを考えながら日々を過ごしていました。でも、いざ開幕戦のマウンドに上がったら、正直そこまでの緊張はなかったです。
――やはり大舞台に慣れているんですね。
藤浪 多少は緊張したんですよ。でもこれくらいの緊張なら経験したことあるなあ、という感覚でした。
――5回2失点と試合は作りました。勝ち投手は逃しましたが、チームの勝利に貢献しました。この勝ちがチームに勢いを付けたと思います。
藤浪 はい、それは僕もそう思います。僕自身も、開幕をうまくしのげたら、シーズンに乗っていけるだろうな、とは思っていましたから。「開幕投手・藤浪」というのは、少し賭けに近い部分があったのでは、と。僕は2年間で1勝しかしてない投手です。その投手で開幕戦を取れたら、チームは勢いに乗れるのではないか、と僕自身もひそかに思っていました。それがうまくいったと思います。それと開幕3連勝でチームに勢いが出たかなと思います。現在チームの雰囲気はいいですし、いい空気感があると思います。
――そういうチームのシーズンの流れのことを考えていたからこそ、開幕戦前に少し緊張していたのでしょうか。
藤浪 そうですね。でも先ほど賭けとは言いましたが、リスクの低い賭けかな、とは思っていました。というのも・・・
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