横浜時代から10年連続Bクラスに沈むDeNA。しかし、近年力をつけてきたのは確かだ。中畑清前監督の下、昨年は前半戦首位ターン。最終的に最下位に沈んだが、年々期待度は高まる。今年からDeNA2代目指揮官となったラミレス監督にはチームを悲願の優勝へ導く手腕が求められる。常にポジティブでいることを誓う新監督を巨人時代ともに戦った伊原春樹氏が直撃した。 構成=小林光男、通訳=長谷川有朋、写真=井田新輔、早浪章弘 セを制覇するために選手は変わらないと
伊原 まずはラミレス監督、DeNAから監督要請があって、念願のプロ野球の指揮官となったわけだけど、そのときの気持ちはどうだったの?
ラミレス ずっとマネジャー(監督)になりたいと思っていましたから自分の夢が叶って、非常にうれしかったですね。
伊原 巨人で4年間、コーチと選手の関係で一緒に戦っていたけど、そのころから監督をやりたいと言っていたよね。野球に対する思いは真摯だったし、「今の姿勢を貫けば絶対にできるから頑張って」と話した記憶があるよ。
ラミレス 本当にイハラさんには感謝しています。ジャイアンツで一緒に優勝を目指して、たくさんのことを学ばせていただきました。それに、ワタシが監督をやりたいと打ち明けたとき、「日本の野球をよく勉強しているし、いつかはできるよ」と言っていただいたことをよく覚えています。
伊原 引退後も独立リーグの群馬、
オリックスでシニアディレクターや巡回アドバイザーとして指導者の勉強をしていたしね。やっぱり勉強熱心。ところでキャンプ前日、監督としてミーティングで選手に自らの考えを示したと思うけど、どういったことを話したの?
ラミレス 最初に「本当に優勝するチャンスがある」ということを強調しました。そして、ワタシ自身が非常にポジティブな性格で、優勝できると強く信じているんだ、と。そのためにも小さなミスをなくさないといけないということを話しました。
伊原 「当たり前のことを当たり前にやる」のが重要だからね。
ラミレス そうですね。昨年、チームは前半戦首位で折り返しましたが、後半戦はやるべきことができなかった。10年連続Bクラスですが、ある意味、ずっと同じミスをし続けていると思います。下を向かずもっとポジティブに戦うことも必要。野球で成功、失敗を左右するのは8割がメンタルだと思いますから。優勝するためには選手たちは変わらないといけません。
伊原 まったくそのとおりだね。ところでラミちゃんが目指すチームの野球スタイルは?
ラミレス とにかくアグレッシブな野球をしたいと思っています。4、5人は強力なバッターがそろっていますから、そのバッターたちには自由に打たせてあげたいと思っています。二番を予定しているカジ(
梶谷隆幸)にも一切バントのサインを出すつもりはありません。ヒットエンドランなど、積極的な攻撃を仕掛けたい。逆に七、八、九番にはバントなど、しっかりと小技ができることを求めたいですね。それと盗塁。昨年、チームは57盗塁とセ・リーグのワースト2位でした。チームには若く、走れる選手も多いですし、もっともっと走らせたいですね。
伊原 梶谷の二番は攻撃的で、いい選択だね。
ラミレス カジを二番に入れるのは最初に決めたことです。
伊原 それでは一番はどうするの?
ラミレス 選択肢は3つあると思います。イシカワ(
石川雄洋)、アラナミ(
荒波翔)、セキネ(
関根大気)。彼らの中から誰か出てきてくれれば。

選手と積極的にコミュニケーションを取り、積極的なプレーも説いていく
伊原 荒波のことは大学(東海大)、社会人(トヨタ自動車)のころか見ていて、いい選手だと思っている。一番に適任だろうね。
ラミレス 私も、アラナミは本当にいいリードオフマンになってくれると期待しています。ただ、今まではそんなにリードオフマンとしてのチャンスを与えられていなかったという印象ですね。
伊原 そこは思い切って起用してほしいね。それに我慢強く使い続けなければ選手は育たないから。
ラミレス アラナミと一緒に研究もしていますし、彼も自分が何をやればいいかよく分かっています。チームの大きな助けになってもらえそうな気がしますね。
伊原 僕自身も足があって、巧打を誇る、荒波のようなタイプが好きだから(笑)。まあ、好き嫌いで選手起用をしてはいけないけど、監督にも自身の野球スタイルがあるから。
ラミレス とにかく一生懸命に練習しますし、相手が嫌だと感じるプレーヤーだと思います。
伊原 選手って、期待されているということを監督から直接言われるのもいいけど、第三者から伝えられるほうが響く場合もある。例えば監督をサポートしている通訳からとか。それも選手教育法の一つだと思うね。
配球を勉強して捕手の成長を望む
伊原 四番は昨年、打率.317、24本塁打、93打点をマークした筒香(嘉智)だろうけど、クリーンアップの構想は?
ラミレス 三番はロペス、四番はツツゴウ、五番は
ロマックを考えています。ショートはクラモト(
倉本寿彦)、シバタ(
柴田竜拓)、セカンドはイシカワ、ヒュウマ(飛雄馬)、ヤマシタ(
山下幸輝)、キャッチャーもミネイ(
嶺井博希)、タカジョウ(
高城俊人)、そしてルーキーのトバシラ(
戸柱恭孝)らで競争してもらおうと考えています。
伊原 そういえばベンチから試合をコントロールするために、捕手に配球のサインを出しているそうじゃないか。これは公式戦でも?
ラミレス そうですね。シーズン中もサインを出していこうと思いますね。若いキャッチャーが多いですし、彼らは助けを必要としています。また、こちらも助けたいと強く思っていますから。キャッチャーを助けることは、ピッチャーを助けることにもつながります。
伊原 それはそれで、非常にいいやり方だと思うけど……。ただ、一つアドバイスすると、ベンチから常にサインを出してばかりいると、キャッチャーの成長が遅くなってしまう。その点が怖いけどね。よく、勝負の行方を左右する場面で心配そうに、チラチラとベンチを見る捕手がいる。それで、指示どおりにサインを出して打たれてしまったら、「ベンチが悪いんだ」と。そういったふうに、とらえる捕手もいるからね。
ラミレス それは、本当におっしゃるとおりだと思うんですけど、まずはしっかりとピッチャーをコントロールして、配球を出せるようになるまではベンチがある程度助けたいですね。もちろん、誰がレギュラーになるかはまだ分からないですけど、ゆくゆくは配球も任せられるキャッチャーを育てたいと思っています。
伊原 ラミレス監督は巨人時代から、配球をすごく勉強しているのは私も分かっている。その点で長けているのは認めているけれど。
ラミレス とにかくキャッチャーには配球面も勉強して、成長してもらいたい。そのうちにプライドも芽生えて、「監督の配球はいらない。自分のやり方でやらせてほしい」と言ってくるキャッチャーが出現することを願っています。
伊原 それと自分自身の経験から言うと、やっぱり捕手は固定したほうがベスト。とっかえひっかえではなく、一人の捕手が中心となってチームを引っ張らないと、優勝は見えてこない。
ラミレス それはそうですね。ただ、いまはキャッチャーに望むのはしっかりとボールを止めてほしいということ。昨年、パスボールがセ・リーグ4位(11個)でしたから。キャッチャーがボールをそらさないと信頼できれば、ピッチャーも2ストライクから自信を持ってフォークやスライダーを投げることができます。そうでなければ配球も限られ、ストライクゾーンで勝負することになってしまいますから。