日本ハム、ソフトバンクの“2強”に待ったをかけろ!“勝利”の2文字を追い求め、悲願の“優勝”へ、並々ならぬ闘志を燃やす“チームリーダー”に今季の決意を聞いた。まずは、今季から選手会長を務めるT-岡田の登場だ。昨季、最下位に甘んじた悔しさを、自らのバットで晴らしてみせる。 取材・構成=鶴田成秀、写真=佐藤真一、湯浅芳昭(インタビュー) 必要なのは勝利へのどん欲さ
屈辱にまみれた昨季。シーズンを通して一度も勝率が5割に届くことなく、チームは4年ぶりのリーグ最下位に。巻き返しを図る今季、ナインはキャンプから目の色を変え、勝利の2文字を追い求めている。そんな中で、誰よりも勝利に飢えていたのは新選手会長だ。 ──選手会長として迎える今季ですが、あらためて昨年を振り返ると、
T-岡田選手からチームはどう映っていましたか。
T-岡田(以下・T) とにかくチーム全体が勝利に対して貪欲に行けなかった。特にシーズン終盤。順位が決まっている中でも、1敗することに対する重みが感じられなかった。
──それはプレー、それともチーム全体の雰囲気が。
T 両方ですね。やっぱりプレーって気持ちが出るんです。全部が全部ではないけど、勝負所では特に。だから、もっとガツガツ、泥臭く、懸命にプレーしないといけなかった。それは僕自身も含めて。とにかく勝利に対する姿勢が足りなかったです。
──昨季終盤、
福良淳一監督に低迷打破のカギを聞いた際「T、安達(
安達了一)、西野(
西野真弘)がチームを引っ張ること」を挙げていました。
T それは監督から直接、言われました。昨年、安達と監督の所に行き、話をしたことがあって。
──監督に呼ばれた?
T いや、自分たちから行きました。残り10試合を切ったくらいの時期で。試合に負けても「ああ今日も負けか」みたいな淡々とした雰囲気だったので、このまま行ったら来年(2017年)も同じ雰囲気になると思ったんです。何とか雰囲気を変えたい。安達と、そんな話をしていて、2人で監督の所に行ったんです。監督も、そういう雰囲気を感じていたらしく。「お前らが引っ張れ」と。

同級生の安達[写真右]とともに特打に励むなど、2人でチームを引っ張る覚悟。福良監督も2人を名指しし、低迷打破のキーマンに挙げている
──昨季の
楽天との最終戦(10月1日、Koboスタ宮城)は1対8の大敗。試合後、ベンチにいたT-岡田選手が、イライラしているようにも見えました。
T やっぱり、負けるって悔しいですよ。最終戦の試合前には最下位が決まっていましたけど、それでも球場に足を運んで声援を送ってくれるファンがいる。そんな方たちに申し訳なかったし、最下位が決まっていたからこそ、最後くらいは勝ちたかった。本当に悔しかったんです。
──監督とは話をしたわけですが、ほかの選手と話をしたりは。
T していません。言葉で言うより、野球に対する考え方、姿勢が一番大事だと思うんです。
──各自が感じることが必要だと。
T ホンマそうなんですよ。人に何を言われても、結局は自分が何を感じるかが一番大事だと思うんです。
──とはいえ、今季から選手会長。引っ張ることも求められます。
T もちろん、引っ張る思いはありますよ。でも、僕は気の利いたことを言えるタイプではないので、まずは自分がしっかり結果を残すことで引っ張っていきたいと思っています。そのために、しっかり練習をする。そういう姿勢で示していきたい。
──背中で引っ張る。
T そうですね。自分らしさを出して。でも、気がついたことがあれば、どんどん言っています。
──例えば、どんなことを。
T 意識の面ですね。「もっと違う準備ができたんじゃないか」と言ったり。「そうすれば違うプレーになっていたんじゃないか」というようなことです。
──今年のキャンプはシート打撃を多く取り入れるなど、実戦を想定した練習が多かったです。その中では、やはり“意識”の高さが問われる。
T シート打撃は状況を頭に入れることは大前提。その中で内容を高めていかないといけない。練習なので結果オーライではダメです。例えば無死一塁で犠打を失敗してヒットを打って、結果的に一、二塁になった。公式戦なら“結果オーライ”としてアリかもしれません。でもキャンプではダメ。練習でできなければ試合でもできない。僕自身も含め、個々が意識を高く持つように厳しくやっていきました。
──キャンプも終わり、その意識は高まったという実感はありますか。
T ありますよ。昨年と比べて、徹底できている感じはあります。でも正直、まだまだ物足りない。僕が入団したころは、もっと練習もピリピリしていましたし、1日が終わったときの疲労感はハンパじゃなかった。まだまだ、意識を高めていきたいと思います。
──そのためにも、まずは自らが模範となっていく。
T 一番大事にしているのは、そこですね。自分自身がフラフラしないこと。自分を持つことです。逆の立場だったら、フラフラしている人に「あの人に付いていこう」と思わないですから。もちろん、失敗することだってあります。それでも下を向かず、前を見ていく。そういう姿勢が一番大事だと思っています。

若手選手たちにも声をかける姿が目立った今キャンプだが「何かを感じてほしい」と、各自が高い意識を持つことが必要と力強く言う
キャリアハイで上昇気流を
すべてはチームのために──。自らのバットで勢いを与えるため、並々ならぬ闘志を燃やす。「143試合フル出場でキャリアハイ」。目指す数字の先に、歓喜の瞬間がある。 ──今季の目標にキャリアハイの成績を挙げています。昨季も同じ目標でしたが、意味合いは同じですか。
T 今年は例年以上にチームのためにという思いが強いです。特に昨シーズンは自分の成績がチームの勝敗に関わってくると実感しました。だから、キャリアハイの成績を残せれば、チームの順位も上がってくると思っているんです。
──昨季、本塁打を放った18試合でチームは13勝と勝率は高いです。
T 一昨年(15年)のホームランはソロばかり(11本のうち10本)で、昨年は8本が走者ありの状況だったのが大きいと思います。やっぱり、どれだけ走者を置いた場面で打てるかは大事になってくるんですよね。
──となると、打率、打点、本塁打の中で重視されているのは。
T 打点ですね。チームの勝ちに直結するのが打点。もちろん、ホームランを多く打てれば一番良いですけど、長いシーズン、好不調の波は絶対にある。その中で、最低限の仕事をしていきたい。不調のときでも、しっかり犠牲フライを打ったり、内野ゴロでも打点を挙げたり。どんな形でも自分が打点を挙げれば、チームに貢献できますから。
──今春のキャンプでは、打撃フォームを入念にチェックされていました。軸足(左足)の使い方を見ていたそうですね。
T インパクトの後に軸足を回転させ過ぎず、粘らせていくイメージを大事にしているんです。好不調のときの違いを探したんですが、映像を見返すと、良い打ち方をしているときは軸足が粘れていて回り過ぎていないことに気が付きました。実際に打撃練習で意識してみたら、軸足が粘れていたときのほうが良い打球が飛ぶ。バットが体に巻き付いてしっかり振れるんですよね。

キャンプでは自らの打撃フォームを撮影し、入念にチェック。軸足の使い方を意識し、スイングを繰り返した
──キャンプでは居残り特打やティー打撃も多く行っていましたね。
T ティー打撃でも軸足を意識していました。やっぱり打撃って下半身が大事。しっかり下(半身)が使えれば上体も連動する。そうやって、しっかり上半身と下半身をしならせればパワーが生まれるんです。テーマとして「軸足の使い方」「上下の連動」は、昨秋のキャンプから継続して取り組んでいることです。
──ティー打撃ではインパクト時に声を出してスイングしていましたが。
T 勝手に声が出てしまうんですよ。でも、それだけ力強く振れている証だと思うんですよね。それに、息を止めて振ると、どうしても体に力が入ってしまうので、力を抜くためにも息を吐きながら振るようにしているんです。
──T-岡田選手の打撃フォームは“すり足”ですが、打席に入る前は必ず右足を高く上げてゆっくりスイングします。これも“脱力”を意識するため?
T あれは左足に体重をしっかり乗せることを意識しているんです。体重の乗せ方を確認し、しっかり体重移動をできるように。下半身の動きは、やっぱり大事なので。
──長いシーズン、不調に陥ることもある。だからこそ確認することが大事になる。
T そうですね。それにスランプの原因って大きく分けて3つあると思うんです。技術、体調、メンタルと。それが複合して起こる。
──T-岡田選手も昨年7月下旬にはスランプに陥りました。そのときの原因は何だと考えていますか。
T あのときは正直、体調も良くなかった。6月に腰を痛めて、治り切らなくて、それがあったからフォームも微妙に崩れて。そうなると、メンタルにも影響して、悪循環に陥ったという感じでした。
──3つの原因の改善法は。
T 体調面と技術なら単純です。コンディションを整えたり、足りない技術を補う練習を繰り返すだけ。精神面は、もう開き直るしかない。だから、とにかく練習する。やることをやっていれば、開き直れるんです。話が戻りますが、だから「練習に対する姿勢」は大事だと思うんです。
──好不調のある中で長いシーズンを戦い抜くのはやはり大変。
T それは毎年、痛感していますね。僕はまだ全試合に出場したことがないですし。だから、今年は143試合フル出場したい。その中でキャリアハイの成績を残したい。
──昨季終盤は四番に定着しました。四番で全試合出場という思いも。
T 四番に対するこだわりはありません。まずは結果を残すこと。良い結果を残せば、自然と良い打順を任されますから。自分の良いモノを出せるかが、勝負だと思っています。
──チームメートの
吉田正尚選手も、紅白戦や練習試合で本塁打を放つなど、ブレークを予感させています。負けられないという思いもある。
T もちろんありますよ。やっぱり年下には負けられない。ただ、ライバルという意味で『負けられない』というわけではないです。(吉田)正尚は昨年、63試合しか出ていなくて、対戦したことのない投手も多くいます。だから、しっかり情報を共有して、伝えられることは伝えていきたい。力になれる部分は、サポートしたい。正尚が打つことで、自分も刺激になりますから。そうやって、チームが良い方向に行けばいいと思います。
──チーム一丸で巻き返しの1年に。そんな中でT-岡田選手が考える、優勝への最低条件は何でしょうか。
T 自分で言うのも厚かましいのですが、「僕がどれだけ打てるか」だと思っています。
──では、最後にあらためて今季への決意を聞かせください。
T 毎年「今年こそ」と言っているんですが、本当に今年は1勝に対して貪欲に、チーム全員が気持ちを前面に出してプレーしていきたいと思っています。ファンの方に気持ちが伝わるプレーを見せたい。今年のチームのスローガンでもある「野球まみれ 一勝懸命」の姿勢を見せて、1つでも多く勝利をつかみ取りたいと思っています。
ハミダシMEMO ナインを鼓舞するリーダーの横顔
■“背中”が与える好影響 早くも背番号55の背中がチームに好影響を与えていた。今春キャンプでは全体練習で自ら若手に歩み寄り声をかけて、士気を高めれば、練習後にも黙々とバットを振る。休むことなく体にムチを打つ主砲の姿を目にし、周りの選手も練習に精を出す。二塁のレギュラーで、福良監督もチームの軸としての期待を寄せる西野真弘も、その1人だ。「Tさんの気持ちが伝わってきますし、『自分もやらなきゃ』と思わされるんです。僕も『姿勢』でチームを引っ張りたい」。そう話したのは、1時間以上の居残り特打の後だった。
PROFILE おかだ・たかひろ/岡田貴弘●1988年2月9日生まれ。大阪府出身。187cm100kg。左投左打。履正社高から2006年高校生ドラフト1巡目で
オリックス入団。5年目の10年にノーステップ打法でブレーク。33本塁打で初のタイトルを獲得した。11年は開幕・四番を任されるも不振に。統一球の導入もあり16本塁打に終わると、12年にすり足にフォームを改造。15年に通算100本塁打を達成した。昨季は、20本塁打をマークし、シーズン終盤は四番に定着。巻き返しのキーマンとして、今季から選手会長を務める。
ユーザープレゼント
T-岡田選手の直筆サイン入りボール
※締め切りは2017年3月13日(月)、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※ご応募いただいた個人情報は、懸賞の目的以外での利用はいたしません。