本誌記者が拾い集めた春季キャンプのこぼれ話。セ・リーグ編に続き、今度はパ・リーグだ。 写真=BBM ソフトバンク・昇格育成2投手の素顔 (宮崎県・生目の杜)
昇格システムを取った今春のキャンプでB組(二軍)から第3クールを前にA組(一軍)昇格を勝ち取ったのが、
寺原隼人投手、
笠原大芽投手、
笠谷俊介投手。そして、育成選手の
長谷川宙輝投手、
野澤佑斗投手でした。この育成選手2人、投球以外にも魅力たっぷりなんです。
まずは長谷川宙投手。球威のある直球で主力選手を相手にも臆することなく内角を突き、
王貞治球団会長をもうならせた話題の左腕ですが、マウンドを降りればあどけなさの残る19歳。小社カメラマンが今キャンプで撮影した写真もキラキラです。また、アイドルグループHKT48ファン(特に松岡はなさん推し)でシーズンオフには練習終了後に握手会へGO。アイドル好きと言えば、
ソフトバンクでは
石川柊太投手ですが、同じニオイを感じます。

17年育成ドラフト2位入団の長谷川宙
次に野澤投手。初日から連日ブルペン入りしたタフネス右腕は、THEいじられキャラ。選手からはもちろんですが、先日は朝の投手ミーティングで
達川光男ヘッドコーチからもいじられていました。また、変則フォームから投じられる荒れ球同様に言動のクセが強い。「(自分の直球は)汚い。顔はキレイなんですけど」と野澤投手。自虐なのか、本心なのか……(苦笑)。A組合流初日の全体ミーティングでのあいさつでも長々と演説を行ったあとに自慢の(!?)歌声を披露していました。
そんな個性的な2投手が目指すのは「2ケタ背番号」。アピールはまだまだ続きます。(R)

16年育成ドラフト1位入団の野澤
西武・レジェンドの帰還 (宮崎県・日南)
2003年以来、15年ぶりに
西武に復帰した
松井稼頭央。今年で43歳になる大ベテランは元気だ。テクニカルコーチも兼任しているが、宮崎・南郷のA班キャンプでトレーニングに余念がない。
2月14日には今キャンプ、2回目となる内野の特守を敢行した。前回と同じく
中村剛也とともに約1時間20分、内野ノックを雨あられと受けたが、
馬場敏史内野守備走塁コーチが放つ際どい打球に必死に食らいつく。「しんどかった」と終了後、息も絶え絶えにサブグラウンドからメーン球場へ続く長い階段を上がっていったが、動きそのものは大ベテランとは思えないものだった。

中村とともに特守で汗を流す松井[右]
さて、その松井だが南郷の地を訪れたのは02年秋季キャンプ以来となる。南郷での春季キャンプは03年から行われる予定だったが、球場の改築などが間に合わず結局04年から使用されることに。「全然記憶と違う。だいぶ変わりましたよね」。松井は同年からメジャー移籍したために、現在のメーン球場や室内練習場などがある状態では初めてキャンプを過ごすことになる。
その他の面でも快適に過ごしている。特にホテルで出てくる食事が最高だという。
「魚や肉など何でもおいしい。だから、ご飯を食べに外出することはほとんどなかったですね」
レジェンドブルーのユニフォームにもまったく違和感がない。充実のキャンプを過ごしている背番号7が、日米通算25年目のシーズンへ突き進んでいく。(K)
楽天・島がイーグルス色に (沖縄県・久米島)
楽天の春季キャンプは今年から沖縄・久米島が「一次」、金武町が二次と位置づけられたが、久米島では島民と交流する恒例行事がある。それが第1クール最終日の2月4日に行われる『久米島フェスティバル』だ。久米島在住のファンら約250人を出迎えたのは一、二軍の全選手。数チームに分かれてフリスビーやフットボウリングで成績を競った。島の子どもたちにとっては選手と間近で触れ合えると数少ない機会。選手を見つめる眼差しが実に微笑ましい(下写真)。
球団創設以来、この島で春季キャンプを行っている。訪れるたびに島民と交流することで、久米島は“イーグルス色”に染まっていった。もう1枚は、今年1月に亡くなった
星野仙一元監督の献花台に手を合わせる幼稚園児たち。頭には手作りのお面が乗っていた。先生たちから話を聞いたのか、男の子も女の子もそろって神妙な面持ちだ。星野元監督の野球を愛する気持ちは、島の子どもたちにもきっと伝わっている。(YO)

星野元監督の献花台に手を合わせる子どもたち
オリックス・『倖田組』専用グラブ? (宮崎県・清武)
昨年から投手のグラブの規定が変更になったのをご存じでしょうか。以前はボールが見えにくくなることを防ぐため、グラブのカラーは一色しか許されていませんでしたが、2色も可能になりました。今キャンプも、カラフルなグラブを手にブルペンなどで投げ込む投手たち。やはりプロは道具も華やかです。
そんなことを考えていた後、シート打撃の登板後のコメントを求めて
黒木優太投手に歩み寄ると、手には赤色に茶色のレースのグラブが。雑談交じりにグラブを見せてもらうと、小指部には『倖田組』の刺繍。そう、ファンを公言している歌手・倖田來未さんの『ファンクラブ名』です。

黒木のグラブ
さらに、手のひら部分には『かかってこい!』を意味する『BRING IT ON』が刺繍してあり、これも倖田さんの曲名からチョイスしたもの。ストレート主体の強気の投球が武器の黒木投手に似合うフレーズでもあります。
やや話が野球から離れつつありますが、しっかりグラブの“機能面”の改良も施していました。今年から小指部に薬指も入れられるように変更し、その理由を「このほうが左手に力が入るんですよ。それにテークバックのときに、しっかり胸が張れてカベが作れるんです」と、球速アップに一役買う可能性も十分。さらに変更の経緯を聞くと「CS、日本Sを見ているときに
サファテ(ソフトバンク)も小指に2本入れていて。それで、自分も試してみようと。感覚は良いのでシーズンも使うと思います」。他球団の選手もチェックする研究熱心な性格を物語るニューグラブを手に、黒木投手は今季も強気の投球を見せてくれそうです。(AT)
日本ハム・陰のMVP、おにぎり君 (米国・アリゾナ州)
球界最重量(合わせて195キロ)のぽっちゃりコンビ結成!? グラウンドをまるで友達同士のようにじゃれ合いながらノッシ、ノッシ……と歩く小太りでずんぐりむっくりの2人の選手。報道陣からも「なんだか癒されるよね〜」と密かな人気を集めていたのが、ゴールデンルーキーの
清宮幸太郎選手と「おにぎり君」こと
横尾俊建選手のコンビでした。
清宮選手の入団前から偶然にも同じ都内のトレーニングジムに通っていた顔見知りでもあり、すぐに意気投合。キャンプ初日からキャッチボールでペアを組み、内野ノック、昼食休憩などほぼすべての行程で一緒に行動。グラウンド内の移動中には時折、清宮選手がニヤニヤしながらちょっかいを出しては、それを横尾選手が兄のような眼差しでたしなめるシーンをキャンプ中に何度も見ることができ、見ているこちらもほっこりした気分にさせてくれました。
不安と期待が入り交じった中でスタートした清宮選手のプロ野球人生。右手首のケガの影響で最大の武器であるバッティング練習がアリゾナ滞在中は思うようにできず、裏では人知れずストレスもためこんでいたとも聞きます。そんな18歳をいつも傍らで優しく、献身的に見守り続けていたおにぎり君の存在。私のアリゾナキャンプ“陰のMVP”は、良きお兄ちゃん・横尾選手にあげたいと思います。(M)

練習終了後にカメラを使って遊ぶ清宮[右]と横尾
ロッテ・それはこっち側が言うことだ! (沖縄県・石垣島)
2月15日の石垣島キャンプ。ファンもまばらとなり、すでにメディアも立ち去った午後3時のブルペン。次期エースを期待される
二木康太がシャドウピッチングを繰り返していた。傍らで
小林雅英投手コーチが付きっ切りで足を踏み出すときの下半身の動きを確認している。
ベースの後ろに場所を移して二木のフォームを確認していた小林コーチが、ほかの投手のボールを受けて引き揚げようとしていた柳沼強ブルペン捕手に声を掛ける。「あいつ、投げたくなると思うからさ」。柳沼捕手が足を止めてうなずく。直後、二木が声を上げた。「ちょっと投げたいんですけど!」。2人は顔を見合わせ、ニヤリと笑った。
そこから熱のこもった投球が続いた。柳沼捕手は「いいボール!」「昼とは違うよ!」と声を張り上げ、小林コーチも「今年一番! さっきとは別人」と二木を盛り上げたかと思うと、ときにはそろって首をひねり、「ちょっと良くなったからって調子に乗るなよ!」と檄を飛ばす。
小林「表情が違う!」
柳沼「今は顔はいいだろ、投げてるんだから。口にテープでも貼っとけ」
小林「口にテープ貼ったらオレ、コーチじゃなくなっちゃう」
そんな同い年ならではの漫才のような掛け合いを続けながら、二木が「いい感じですよね!」と自賛すると、「それはこっち側が言うことだ!」とやはり声をそろえて突っ込みを入れた。

柳沼捕手にチャチャを入れる(?)小林コーチ
実はこのオフ、二木は調子を崩していた。昨年のようなストレートの伸びが出ない。ブルペンを出た小林コーチに、「昨年の状態に戻りそうですか」とたずねると、「昨年と比べる必要はない。よりレベルアップしなければならないので。そのためのきっかけになればいいね」という言葉が返ってきた。
投手コーチとブルペン捕手の共同作業。プロの仕事を目の当たりにした。(TS)

2人のおかげで今季二木の活躍は約束された?