週刊ベースボールONLINE

2019ドラフト候補

井上広輝(日大三高・投手) 屈辱の秋も変わらぬポテンシャル

 

一冬越えた成長が楽しみだ


 昨秋、日大三高は屈辱の黒星を喫した。創部10年目の新興校・目白研心高との東京大会1回戦で惜敗(5対7)。「3年連続の春」だけを目指していた同校にとっては、信じ難い展開だ。18年春、夏に続く3季連続での甲子園出場も消滅。夏の甲子園4強へけん引した3年生が引退し、この秋は「10」を背負う井上広輝には、あまりに早過ぎる“終戦”であった。

 目白研心高との東京大会1回戦では同級生の右腕・平野将伍が先発も、試合を作ることができなかった。平野は春のセンバツ、夏の選手権ともベンチ外。秋は背番号9を着け、井上、廣澤優(同1)とともに「右腕3本柱」の一角として期待が大きかった186センチの大型投手だ。実力は申し分ないとはいえ、経験値は未知数という不安要素が露呈し、1回一死で3失点降板。日大三高は1回裏に追いつくも、救援した2番手・小川敦星は5回に痛恨の3ランを浴びる。

 3対6となり3番手・井上が6回途中からリリーフしている。しかし、試合の流れとは怖い。目白研心高はドラフト候補右腕に対しても、果敢に立ち向かってきた。井上は6回に痛恨のチーム7失点目を喫した。その後は力勝負で圧倒し、攻撃陣も必死に反撃するが、序盤からの劣勢はあまりに大きかった。

 強い者が勝つのではなく、勝った者が強い。一発勝負、高校野球の難しさを痛感。勝負は「夏一本」だ。長く厳しい冬を過ごすことになる。

 井上は2歳上の兄・大成(青学大1年)の背中を追うように日大三高に進学。兄は強打の内野手として3年時にはU-18W杯(カナダ)で銅メダルを獲得している。国際舞台での活躍に刺激を受けた井上は、同秋の新チームから存在感を発揮。2年春のセンバツの時点で、NPBスカウトの“評価”を決める快投を見せている。黄色のグラブを愛用し、マウンドでの立ち居振る舞いは、2年生ながらも、2011年夏に日大三高を10年ぶり2度目の全国制覇へ導いた吉永健太朗(早大-JR東日本)を彷彿とさせるオーラがあった。

 センバツ後も好調をキープしていたが、早実との春の都大会準決勝でアクシデントが襲う。4回途中から2番手としてリリーフしたが、8回に右ヒジの違和感を訴えて緊急降板。チームが都大会を制し、関東大会での復帰プランがあったが、登板なし。夏の西東京大会でも登板機会がなかったが、チームは5年ぶりの甲子園出場を決めた。

 背番号11の井上は、チームに貢献できないもどかしい日々を過ごしたが、すべては将来のため。日大三高・小倉全由監督は決して無理をさせなかった。同秋を見据える選択肢もあった。そんな指揮官の心配をよそに、井上は自身2度目の甲子園で成長した姿を見せた。奈良大付高との2回戦で満を持して先発すると、3回無安打無失点。自己最速を3キロ更新する大台の150キロを計測した。昨秋は悔しさを味わったが、ポテンシャルの高さはすでに実証済み。夏までに、1大会を投げ切る体力を身に付けることが課題だ。春には一回り大きくなって、背番号1を手にしたいところだ。

PERSONAL CHECK


最速 150キロ
変化球 スライダー、チェンジアップ、シンカー

マウンドでのたたずまいに存在感がある。常にポーカーフェースで落ち着きがあり、野手にも安心感を与える。甲子園では150キロを計測も本人は8割程度と、春が期待される。


PROFILE
いのうえ・ひろき●2001年7月17日生まれ。神奈川県出身。180cm76kg。右投右打。南毛利小1年時にソフトボールを始め、南毛利中では相模ボーイズでプレーし、3年時は海老名南シニアに在籍。日大三高では1年夏の西東京大会からベンチ入り(背番号20)。同秋には11を背負い、東京大会優勝に貢献。2回戦に進出した2年春のセンバツでは147キロを計測して注目を集める。同夏の西東京大会では右ヒジ痛の影響で出場機会はなく、150キロをマークした甲子園では2試合に登板し準決勝進出に貢献。同秋は都大会1回戦敗退。

取材・文=岡本朋祐 ベースボールマガジン1月号より転載
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング