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吉田正尚の頂ロード Road to Top

吉田正尚コラム「何1つ納得いく数字はないですが、記憶に残るのは“仰木さんデー”で放った決勝2ランです」

 

仰木彬元監督の誕生日である4月29日の西武戦[京セラドーム]。8回裏に放った決勝の2ラン本塁打が、記憶に残る1本です


勝利に貢献するために上げたい得点圏打率


 意外と“しんどい”と言っていたオールスターでのホームランダービーで、今年は準優勝することができました。準決勝で負けてしまった昨年を超えることができてよかったです。選んでいただいたファンの皆さん、あらためて、ありがとうございました。おかげで真剣勝負のシーズンの中で“心の休息”を満喫することができました。

 さて、球宴も終わり、リフレッシュして勝負の後半戦に挑みます。残り約60試合で順位が決まる。ここからが、より大事になってきますが、その前に、今回は“前半戦”を振り返っていきたいと思います。

 日本代表でのメキシコとの強化試合(3月10日=京セラドーム)では本塁打も放ち、オープン戦でも結果が出て、いい形で開幕を迎えられました。シーズンを見据え、昨秋のキャンプ、オフ、そして今春キャンプを過ごしてきたので、万全を期しての開幕。が、なかなかヒットが出ず、開幕直後は苦しい日々に……。シーズン初安打が出たのは15打席目の開幕3戦目(3月31日、対日本ハム=札幌ドーム)。自分の結果が悪いだけならまだしも、チームも1分2敗と勝てず、シーズン初勝利は開幕から7試合目。“打てない”“勝てない”の日々が続いて、しんどいスタートになってしまいました。

 打撃に限れば、結果が出ない予兆のようなものがあったんです。というのも、オープン戦でも自分のイメージと打球が一致することが少なかった。結果はヒットでも、自分の感覚ではボールの下にバットが入って打球が上がるイメージなのに、ゴロで野手の間を抜けていったり。結果では分からない少しの感覚のズレがあったんです。それが、開幕後に結果に表れて。シーズン当初は状態が良いときの映像を見たりしてバットを振ったり、とにかくズレを修正することに取り組みました。

 すると、4月に入り徐々にヒットも出始め、ホームランも出るように。ただ、自分の中では当然、納得のいく成績ではありません。成績というのは、最終的に残るものであり、シーズン中に気にする必要はないですが、それでも去年の自分は超えていきたい。打率も3割直前までは上がるものの、そこから当たりが止まったりして、いまひとつ乗り切れない。前半戦の調子は、低い位置で波を打っているような状態でした。

 ホームランは15本と、昨年を超えるペースで出ていますが、これも納得のいく当たりはゼロ。ただ、強いて挙げるなら、仰木さん(仰木彬・元監督)の誕生日の4月29日に行われた西武戦(京セラドーム)での“仰木さんデー”で打った1本です。3対3の同点の8回裏に放った2ランが決勝点になり、チームの勝利に貢献できました。勝負を決めた、この本塁打は自分の中で価値ある1本だと思っています。

 自分が打ってチームが勝つ。それは打者として、これ以上ない喜びです。だから、開幕当初は苦しかったし、何より僕はチームの中でポイントゲッターを任されています。得点圏で回ってくる打席こそが、僕の一番の仕事なのに、前半戦は結果を残せませんでした。後半戦は得点圏打率.271を少しでも上げたい。そうすれば、必然的に打点も増え、チームの得点力も上がる。それが、チームの勝利に最も貢献できる僕の仕事です。


悪い状態の中からいかに抜け出すか


 ただ、いつも状態が良いとは限りません。長いシーズンを戦う中で、今年の開幕直後のように思うように結果が出ないときもある。その悪い状態の期間を、いかに短くできるかが勝負です。そこで必要になるのが“引き出し”の多さ。感覚のズレが生まれたとき、多くの考えを持ち、複数のアプローチの仕方を知っていれば同じ失敗は繰り返さない。ヒットを増やすということよりも、凡打を減らすと考えると、“引き出し”が多ければ多いほど、一流の打者に近づけると思うんですよね。

 そういう点では、秋山さん(秋山翔吾・西武)は、さすがだなと痛感します。僕と同じように開幕直後はヒットが出ていませんでしたが、今では優に打率3割を超えている。それは、やはり引き出しの多さだと思うんです。結果が出ない中、凡打を重ねてしまう中で、自分なりに微調整をしている。失敗を失敗のままで終わらせず、次に生かすから、同じ轍は踏まない。あれだけの勢いで復調したことが、引き出しの多さを物語っていると思うんです。

 このコラムで、3つのスイング(第3回)や、打席での意識(第4回)などを書いてきましたが、これらは僕の引き出しの1つ。ですが、これから打席数を重ね、さらに多くの方法を探し、見つけて“頂”を目指していく――。好不調の波をなくし、チームの勝利に貢献するために、前半戦の経験をどう生かしていくか。それが後半戦に成績を上げることにつながる。結果ばかりを追い求め過ぎてはいけませんが、1本でも多く、そして1つでも多く勝てるように後半戦も頑張ります。

PROFILE
吉田正尚/よしだ・まさたか●1993年7月15日生まれ。福井県出身。173cm83kg。右投左打。敦賀気比高、青学大を経て2016年ドラフト1位でオリックスに入団。開幕スタメンを勝ち取り、10本塁打を放った。17年は腰痛が再発し開幕直前に離脱も、7月に復帰して2年連続2ケタとなる12本塁打を記録。3年目の昨季は6月から四番に定着すると、全試合出場、打率.321、26本塁打、86打点の成績でベストナインを受賞した。今季も若き四番として、打線をけん引する。
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