秋に笑うため、“熱い夏”を駆け抜ける。混戦を極めるパ・リーグを制すべく、虎視眈々と上位をうかがう各球団。ロッテの主将を務める背番号8も、自らを見つつ、勝利を追い求めている。いざ“混パ”の主役へ──。チームの中心を担う男に迫る。 取材・構成=鶴田成秀 写真=桜井ひとし ※成績は8月19日時点 
「成績を残すことがキャプテンに指名してもらった一番の理由」と、自分を高める意識はチームのためでもある
一人の選手として役割を全うする
主将である前に、一人の選手。左胸に光る『C』のマークも主将の意識はゼロに近い。「成績が出ないとチームに貢献できない」と、勝利を目指すからこそ変わらぬ考えがある。広角に打ち分け打率3割超、リーグ4位の98安打と自身の好調ぶりも、その意識の賜物だ。 ――パ・リーグは混戦を極めています。熾烈(しれつ)な争いを制するために大事になることは何だと考えていますか。
中村 1点の重みを、より理解することだと思います。各チームの差がすごく詰まっている中で、頭1つ抜け出すためには、接戦の試合を勝っていかないと。そのためには、1点をしっかり取っていく。そこになると思います。
――今年から主将に就任しましたが、各選手にも伝えている部分でしょうか。
中村 いや、特に意識して伝えてはいないですし、キャプテンになったからといって、何かを変えてやっていることもないんです。ホントに今までと変わらずにやっている。若い選手が多いので、声かけは意識してやっていることですが。
――今季のチームスローガンも『この1点を、つかみ取る。』です。言わずしても、共通認識でもあると思います。
中村 そうですね。僕自身もキャンプで初めて、このスローガンを聞いたのですが、昨年の結果から掲げた言葉だと思うんです。昨シーズンを振り返ると『そのとおりだな』と。すごく腑(ふ)に落ちたんです。今年だけではないけれど、まずは今シーズン、攻撃ではしっかり1点を取りにいくこと、守備では1点を防ぐこと。これを意識してやっていこう、と。
――混戦を勝ち抜くにあたり、昨年の優勝争いの経験も大きく生きると思います。
中村 生きるし、生かしていきたい。昨年は競った中で後半戦に入りましたが、最後は大きく離されたので。そこを今年は抜け出すために、このスローガンになっていると思うんです。そういう1点の重みが終盤戦は大きくなっていく。一人ひとりがそういう考えをもって戦えば、1点1点、1試合1試合を積み重ねた先に抜け出すことができると思う。それができれば、昨年の経験を生かせたと言える。そうなっていきたいと思います。
――中村選手個人の話で言えば、今季は主将と立場は異なります。若手への『声かけ』も、この経験を伝えるため?
中村 いや、声かけにしても『キャプテンだから』というより『自分のやるべきこと』を意識しただけなんです。練習でやってきたことを試合で出せるようにするのが一番ですから。周りを見ることも、キャプテンだからやるというわけではないんです。ずっと試合に出ていく中で・・・
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