昨季一軍デビューし、3試合で防御率18.00だった22歳の右腕が、今季は16試合連続無失点中だ。低迷するタイガースの勝ちパターンに欠かせない存在になった。6月6日にリフレッシュのため一時抹消になったが、決してレベルの低くない虎投手陣の中で、まだまだ成長中だ。 取材・構成=椎屋博幸 写真=BBM 
与えられた場所に感謝しながら、1試合1試合を大事に丁寧に投げ込んでいる
思い描いた場所と投球
昨季までの守護神・スアレス(ロベルト・スアレス)が抜けた穴は大きく、阪神は開幕で大きくつまずいた。しかし、そのあとにセットアッパーの岩崎優がすぐクローザーへ。そこに重要な8回を任せられる存在がいたからだ。それが22歳の湯浅京己だ。強力な腕の振りから伸びのあるボールで打者を打ち取る。まさかこの男が、入団4年目で3度も故障と向き合ったとは思えない。そこには、はい上がってきたからこその魂の投球がある。 ――今季、中継ぎとして素晴らしい活躍です。思い描いていた理想に近い活躍でしょうか。
湯浅 ずっと勝ちパターンの場面で投げたいと思いながら、ここまでやってきましたので、今のポジションで投げさせてもらい、1日1日が充実している日々を送らせてもらっています。
――セットアッパーの場所が自分の仕事場だ、という感覚はありますか。
湯浅 まずは、マウンドに上がった場面の中で、どういう状況でも自分がやることは何も変わらないです。本当に1試合1試合、自分ができることをやっていこう、という感覚しかないです。
――約1年前に一軍デビュー(2021年6月3日
オリックス戦=甲子園)をしましたが、このときは1イニング2失点でした。
湯浅 昨年はリハビリ組から抜けてすぐ一軍に呼んでいただき、投げさせてもらえました。あのときは、自分が思い描いていた球は投げられない状態でしたので、ただ投げていた、という感じでした。
――1年も経たない間に、いまやチームに欠かせない存在になりました。
湯浅 今年に関しては春季キャンプから一軍に呼んでもらったことで、環境に慣れていき、マウンドでもバッターを見ていく中でいろいろと考えながら投げられているのかな、と思います。昨年よりも自分のペースで打者に向かっていくことができていると思います。
――1年前のただ投げているだけから、そうなった分岐点はいつだったのですか。
湯浅 昨年の投球があったからこそ、今年の投球があるとは思っているのですが、何か変わったなと思えたのはオープン戦のときくらいだったと思います。一軍の打者と対戦することで自信みたいなものがついてきた感じはありました。投げていて、徐々に打者を見ながら投げられていっていることが、今までと違うなあ、と感じています。
――自分の思い描いた投球内容と、実際の投球がマッチしている感覚があった。
湯浅 キャンプなどは投げ込みなどもしたので疲れもありました。紅白戦などでも投げて、体が重いなというのもありました。でもオープン戦やシーズンが近づいていくうちに・・・
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