
7月にプロ初完封を挙げるなど成長を見せる一方、試合序盤にKOされることも。悔しさを胸に山崎福也は来季の逆襲を誓う
観光客で賑わう夜の新千歳空港のベンチに、山崎福也は少し寂しそうに座っていた。
「とにかく結果がほしいですよね……」
飛行機を待つ時間、反省や後悔、そして自身に対する怒りに近い感情が口をついた。先発を任された9月18日の
日本ハム戦(札幌ドーム)、わずか1アウトしか奪えず31球で降板。その場で“強制帰阪”が命じられ、試合結果を見届けることなく球場を後にした。5月26 日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)でも、3回途中4失点でマウンドを降りて試合中に1人球場を去った。
「帰されるぐらいの試合をしてしまった。今までの人生で一番悔しい1年だった」
今季でプロ3年目、7月10日の日本ハム戦(京セラドーム)ではプロ初完封を挙げたが、悔しさのほうが濃いシーズンだった。9月の日本ハム戦で
福良淳一監督が指摘したのは四球だ。「打たれるのはいいけど、やっぱり四球でしょう」と3四球に表情を曇らせた。左腕も「減らしたい気持ちはある。あとは真っすぐの制球力も鍛えたい」と来季に向けて最大の課題に挙げる。
本来は先発志望だが、今季は中継ぎとして開幕メンバー入り。シーズンに入ってからも中継ぎと先発の両方をこなし、調整やすぐに結果を求められる難しさは少なからずあったはずだ。それでも2015年のドラ1は言い訳にはしない。
「悪かったところを見つめ直して、ガムシャラにやっていくしかない。先発ローテに入ってバンバン勝ちたい」
どん底も味わった左腕の来季の逆襲に注目だ。
写真=早浪章弘