
エースといわれる投手になることを目標に1試合1試合進化を目指す才木
プロ入りから着実に力をつけているのが
才木浩人だ。昨季は2試合2回2/3を投げて終わったが、今シーズンは終盤も先発組で踏みとどまっている。
自己最長の7回を投げきったのは、8月22日の
中日戦(ナゴヤドーム)だった。チームも先発のやり繰りに苦慮している状況で、今季4勝目をつかんだ。
19歳の才木ははっきりと「エースといわれるようなピッチャーになりたいです」と言い切る。若手が伸び悩むチームにあって、将来性を感じさせる右腕の台頭は頼もしい。
公立の須磨翔風高出身。全国区のピッチャーではなかったが、高校2年のときから能力の高さにプロが目を付け、2016年ドラフト3位で
阪神入りした。
その後は育成の段階を踏んできた。1年目に二軍で公式戦初登板した際も、球速149キロを計測しながら「力不足です」と言って、ひたすら心身の強化に努めた。
闘争心あふれる性格は、動じないマウンドに表れる。大学時代にハンドボール日本代表だった母親・久子さんが「弱音を吐かない息子」と言うようにメンタルの強さは保証付きだ。
約1カ月勝てない時期もあった。それでも我慢強く練習に取り組んだ成果は、勝ち星に証明されている。
「ただ投げて満足するんじゃなくて、勝たないと意味がない」と先を見据える。油断すると落ちこぼれる厳しい世界で、ここからが踏ん張りどころだ。