
チームに欠かせないベテランの栗山巧
毎日、若手の早出練習の時間帯からグラウンドに降り、一人黙々とストレッチ、ウオーミングアップを行う。他と一線を画して放たれているその鋭いオーラは、プロ意識、野球への愛情、そして今季へ懸ける思いの強さの表れだろう。
「野球がうまくなりたい」
誰よりも高い集中力で試合に挑んできた。
だが、序盤は苦しんだ。開幕からスタメンを外れ、代打での登場。その状態がしばらく続いた。しかし、4月14日に今季初の先発起用のチャンスを得ると、そこから7試合連続安打を記録し、自らの力でレギュラーの座を勝ち取った。
夏場に状態を落としたが、それでも要所で見せる状況に応じた的確な打撃技術に首脳陣の信頼は厚く、
辻発彦監督も「本当に頼りになります」と絶賛する。大事な場面で決定的な仕事をする男だということを象徴するかのように、優勝争いが佳境に入り、今まで以上に落とせない大事な試合が続く9月に入ると、状態を一気に上げ月間打率.369をマーク(9月24日現在)。チーム内では数少ない貴重な“優勝を知る男”として、背中で、バットで、チームを活気付けている。
秋山翔吾、
浅村栄斗が打率3割を超え、
山川穂高は本塁打トップ、そして同級生・
中村剛也は8月に12本塁打を放ち月間MVP受賞とチームメートが好成績をマークする中、「みんなの活躍が刺激になります。9月に首位争いができているのは幸せ。優勝に近づいていく戦いができてうれしいです」。
西武一筋17年。誰よりもチームを愛する男が10年ぶりの念願を叶えるべく燃えている。
写真=BBM