V奪回に向かう船出を任せられるのは、菅野智之しかいない。2年連続通算5度目の大役。すでに昨年11月に
原辰徳監督が、「それ(開幕投手)は間違いないところでしょうね」と、12球団最速で明言している。
球団歴代でも屈指の存在となった日本のエースだ。昨季セ・リーグの投手主要3タイトル(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振)に加え、2年連続の沢村賞に輝いた。原監督の提案により、今季から背番号も「19」から「18」に変更。並々ならぬ思いを胸に、3月29日の
広島戦(マツダ広島)の先発マウンドに上がる。
「143分の1と捉えるんじゃなくて、本当に大きい試合になると位置づけている。それだけの覚悟とプレッシャーは感じて、マウンドに上がるつもりでいます」
開幕戦登板は通算3勝1敗だが、今度の相手はチームが昨季7勝17敗1分けと大きく負け越し、リーグ3連覇を許した王者・広島。その上、11年ぶりのビジター開幕となるが、菅野は「去年あまり勝てていないマツダでのスタートになるし、勝てばチーム的にも勢いに乗ると思う」と前を向く。開幕戦先発4勝となれば、
別所毅彦(51、53、56、55年)と
斎藤雅樹(93~96年)の持つ球団記録に並ぶ。
春季キャンプでは左腕の
今村信貴を投手キャプテンに指名して成長を促すなど、自身の鍛錬のみならず、チーム作りにも力を注ぐ。まずは序盤戦の行方すら左右しかねない開幕戦へ向け、刃を研ぐ。
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