
自己最多の9勝をマークしているが、まだまだ成長しなければいけない
「8回、しっかり締めなければならないところを大量失点してしまい、チームに申し訳ない気持ちでいっぱいです」
チームトップの9勝目を挙げながら、反省の言葉ばかりが並んだ。8月17日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発した
西武の
高橋光成。味方打線が相手エース・
千賀滉大から2回に一挙9点を奪うなど13点の大量援護に守られながら、7回まで無失点の力投を見せた。
しかし、8回。一死から
今宮健太に左翼席へアーチを運ばれると、続く
福田秀平、
上林誠知に連打を浴び、
牧原大成は一塁ライナーに打ち取るも
長谷川勇也には四球で二死満塁のピンチを招く。ここで踏ん張りたいところだったが、
周東佑京には一塁への2点適時二塁打、二死二、三塁となり、
明石健志には右翼席へ3ランを叩き込まれ、計6失点。無念の降板となってしまった。
この試合、13対8で勝利し、2位の西武は首位・ソフトバンクに4ゲーム差に迫ったが、もし高橋光がタカ打線を9回までゼロに抑えていたら、チームの勢いは加速していただろう。ソフトバンクとの2戦目、3戦目は4対5、1対2と惜敗してゲーム差は6に開いてしまったが、この結果も違ったものになったかもしれない。
今春はB班キャンプからのスタートだったが、自らの手で開幕先発ローテーションの座をつかみ取った。一昨年負った肩の故障に長く苦しんできたが、その間、体のメカニックを初めてしっかりと学び、再発の恐怖とも闘い、乗り越えてきた。
また、昨オフには自身の経験を基に常に助言を送ってくれた
菊池雄星(マリナーズ)と自主トレを行い、「意志が弱い」と指摘を受けた。周囲に流されやすい己の短所と向き合い、改善を決意。そうした要素の一つひとつが相乗効果を生み、自己最多の9勝につながっているが、防御率は4.49と合格点にはほど遠いなど、まだ乗り越えなければいけない壁がある。今季、残り少ない試合の中で本当に信頼される先発となる。
写真=BBM