
末恐ろしい19歳だ
高卒2年目で覚醒した大砲には、どれだけの評価がなされるのだろうか。
村上宗隆は今季、最下位に沈むチームの中で大きな存在感を放った。堂々とした立ち居振る舞いで、すでに風格すら漂わせる19歳。数々の記録を塗り替えながら、シーズンを力強く駆け抜けた。
「思っていたよりも数字を残すことはできました。この経験をこれからにつなげていかないといけないと思います」
序盤戦は苦しんだ。「六番・三塁」で開幕スタメンを勝ち取ったが、なかなか打率が上がらない日々が続いた。だが、めげずにバットを振り続け、シーズン中盤からは本塁打を量産。9月4日の
広島戦(神宮)では32号を放ち、1986年の
清原和博の31本塁打を抜き、10代選手の最多本塁打を記録した。
さらに、「クリーンアップを打っているので、気にしています」という打点は同戦で87打点目を挙げ、53年の
中西太(西鉄)の86打点を抜き、高卒2年目以内の最多打点記録を更新。最終的には全143試合に出場し、打率.231ながら、同年の中西太に並ぶ高卒2年目以内最多の36本塁打、96打点の好成績を残した。
今季の年俸は800万円(推定)。高卒3年目の最高年棒は
松坂大輔(
西武)と
大谷翔平(
日本ハム)の1億円で、ここには届かないだろう。だが、大幅アップは間違いなし。さらに、新人王獲得となれば、どこまで上がるか見物だ。燕を背負って立つ若き大砲への評価に注目が集まる。
写真=BBM