
三好 匠
まさに衝撃的なプレーだった。6月19日、
DeNAとの開幕戦(横浜)。
三好匠は
メヒアに代わって8回からサードの守備位置についた。2対1と1点リードの8回、一死三塁。一打同点のピンチ。代打でDeNAの強力な新助っ人
オースティンが打席に入った。大瀬良が投じた2球目を強打され、打球はすさまじいスピードでサードへ向かった。手前で一度跳ねたボールは三好のグラブに収まった。三好は体勢を崩しながらも、体を1回転させ、すかさず本塁へ送球。見事に同点を防ぎ、チームに開幕戦白星をもたらした。
「(大瀬良)大地さんが粘ってくれていた。なんとかしたかった」
三好にとっても厳しい条件がそろう中で生まれたワンプレーだ。開幕戦、ビジターでの試合、雨でぬれた人工芝、終盤の途中出場、本職の遊撃ではないサード、1点差の緊迫した場面……。すべての条件を一瞬ではね返した。「打者がオースティンということもあって、速い打球が来ると思って準備していた。まずは(打球を)捕ればなんとかなると思ってました」。あのワンプレーがなければ――。チームの誰もがそう思ったであろう、超ビッグプレーだった。
福岡・九州国際大付高校ではエースとして
高城俊人(現DeNA)とバッテリーを組み、3年春のセンバツは準優勝、夏の甲子園にも出場した。ドラフト3位で2012年に
楽天に入団したと同時に、投手から内野手へ転向した。19年の7月に下水流との交換トレードで
広島入り。昨季は広島で43試合に出場した。投手出身の強肩と安定した守備力を武器に、開幕一軍の切符をつかんだ。三好にとっての今季ワンプレー目で、最高のプレーを生み出した。開幕戦勝利の陰のMVPといっても過言ではない。
写真=BBM