
出塁率を上げるため、打撃も磨かなくてはならない
快足をかっ飛ばして、スターダムを駆け上がる。ドラフト5位の外野手、
並木秀尊(獨協大)の武器は、何といってもその走力だ。大学3年時の大学日本代表選考合宿では、手動ながら50メートル走5秒32を計測。当時中大で、
日本ハムのドラフト2位・
五十幡亮汰のタイムを上回り『サニブラウンに勝った男に勝った男』の異名がついた。
プロ初のキャンプでも、魅力の「足」をいかんなく発揮した。今季初の対外試合となった2月17日の
DeNA戦に「一番・中堅」で先発出場。1回、三塁へ放ったボテボテのゴロが内野安打となり「一番打者の仕事は出塁することが一番大事だと思うので、内野安打を勝ち取れたことはよかった」。右打ちだが、圧倒的な速さでプロ“初安打”とした。
続く4回の第2打席では、高く弾んだ打球で投失を誘って出塁。雨でぬかるみ、足場が悪い中で「挑戦してみないと課題も見つからないと思うので、最初から行こうとは思っていました」と初球で二盗を決め、ドラフト4位・
元山飛優の中越え二塁打で生還した。
高津臣吾監督も驚きを隠せなかった。「足場が悪かったけど、あのスピードが出せるのはすごい戦力だと思う。相手にかかるプレッシャーも違う。スピードがあることは間違いない。スペシャルな存在としてチームに貢献できるかどうか。そこで生き残っていかないと」。まずは、“足のスペシャリスト”としての活躍が期待されそうだ。
並木自身も「まずは足でトップをとってから」と意気込む。幼少期から
イチロー(元マリナーズほか)や、
鈴木尚広(元
巨人)ら足の速いヒーローにあこがれてきた。韋駄天が、プロのフィールドで駆け回る。
写真=大泉謙也