10試合を終え27得点と打線が低調のドラゴンズの中で、気を吐いていたのが四番のダヤン・ビシエドだった。打率.324、1本塁打、7打点。竜の2021年はこの男から始まった。
開幕の
広島戦(マツダ広島)。4点ビハインドで始まった8回。1点差まで迫り、なおも二死三塁で打席に向かう。広島のケムナの外角高め150キロを叩くと、打球はライナーであっという間に右翼席へ。自身3本目の開幕戦本塁打が2年連続の白星スタートに結び付いた。
「みんなが自分の仕事をしてつないでくれた。大振りしたわけでもなく、高めのボールに合わせたところに飛んでいってくれました。皆の気持ちと一緒でという感じでした」と笑顔を見せた。
来日6年目。チームとも名古屋とも深く結び付いている。「日本語は話せないけど、気持ちは日本人だよ」。昨年末は秋に脱臼した左肩のリハビリのため、ギリギリまで日本に滞在した。外国人選手がオフもとどまってトレーニングを続けるのは異例だ。再来日する際もコロナ禍の影響で設定されている2週間の隔離期間をキャンプインに間に合うように逆算。チーム最優先の行動が結果に結び付いている。
家族もすっかり竜の一員だ。小5の長男・ジュニア君がドラゴンズベースボールアカデミーに入校。父として最高の手本を見せている。「いつもいつも家族は応援してくれるし、大切な存在。一緒にいられることで落ち着くのは家族に感謝です」。チームに欠かせない四番が今年こそ名古屋に優勝を運ぶ。
11試合を戦い終えた4月8日に上肢のコンディショニング不良で登録を抹消されていたが、20日にも復帰予定。竜の四番は、やはりこの男しかいない。
写真=BBM