走塁改革を掲げる与田竜で、滝野要が貴重な戦力となっている。3月26日の
広島との開幕戦(マツダ広島)。4点を追う6回。開幕投手を務めた福谷の代打で登場すると、カットボールをとらえた打球は大瀬良の足元へ。これが内野安打になり出塁すると、見せ場が訪れた。一死後、阿部の打席でスタートを切った。これが記念すべきプロ初盗塁となった。
「自分は一生懸命に元気を出してやっていかないと使ってもらえない」
今季与田監督はチーム目標として盗塁の企図数150を掲げている。滝野も走れる選手としてキャンプから期待され、高松、岡林らとともに3年目で初の開幕一軍をゲット。その後も積極果敢な走塁でチームを盛り立てている。
そして滝野の武器は足だけではない。オープン戦の円陣ではこんなことがあった。
「散髪にいったんですけど、みんなに『大阪のおばちゃんみたい』と言われたので、上沼恵美子さんのモノマネをさせてもらいました」。明るいキャラクターを全面に出すことでグラウンドでの迷いも消えたという。
「円陣の声出しはキャンプでも率先してやっていた。だいぶ先輩たちにも声を掛けてもらえるようになったし、そのことでプレーもしやすくなった。試合に出るとまだ緊張するけど、少しはリラックスできているのかなと。守備は最低限。打撃と走塁でアピールしていかないと」
いまや元気印として欠かせない存在になりつつある。開幕からチームは貧打に泣いている。そんな状況を突破するには、こういうキャラクターが必要だ。
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