
内野手ながら外野守備も抜群にこなす牧原
工藤ホークスの象徴的なユーティリティープレーヤーだ。10月9日の
オリックス戦(PayPayドーム)。8回二死一塁の守備で
若月健矢が放った中越えの打球を、俊足を飛ばし追った中堅手の
牧原大成がダイビングキャッチを試みた。だがグラブに惜しくも届かず、勢いのままフェンスに激突。倒れた間に打球は転々とし、若月は一気に生還した。プレー中断後も牧原大は立ち上がれず、担架でベンチ裏へ運ばれ交代となったが、身体能力と気迫が生んだプレーにナインとファンの胸を熱くした。
超ファインプレーにこそならなかったが、俊足による守備範囲の広さとセンスを持つ外野守備力はチームでもトップクラスだ。本職は二塁。にもかかわらず今季も外野では中堅、左翼、右翼、内野でも遊撃、二塁、三塁と計6ポジションで試合出場している。就任から昨季までの6年間で5度の日本一を達成した
工藤公康監督にとって、万能過ぎるほど万能なプレーヤーの1人と言っていい。指揮官は、就任直後から選手のユーティリー性を重要視。「7、8、9回の攻撃と守りが大事になる」との考えから、就任1年目の春季キャンプから、特に若手選手には複数ポジションの練習を課した。
その目玉が、牧原大だった。2015年の春季キャンプで、工藤監督の指示の下、外野守備の練習に着手。前年まで一軍出場は通算22試合しかなかったが、可能性を広げ15年には外野だけで36試合に出場した。指揮官は今季限りでの退団が確実となっているが、牧原大は今、チームに必要不可欠な存在となっている。
写真=湯浅芳昭