
常に声を出し、チームを鼓舞することを忘れない山田
「うわぁ〜、ナイス○○さん!」
「ナイスボール!!」
まだスタンドのファンが声を出しての応援ができない中、
山田遥楓の声はひときわ球場に響き渡る。その声の大きさに、ファンも思わず笑ってしまうほどだ。
特に昨季、その山田の“元気”が果たした役割は大きかった。開幕直後からレギュラー陣にケガ人が続出し、危機感からチームには意気消沈ムードが漂っていた。そんな中、出場機会を得た7年目内野手が発する、投手が1球投げるごとに響く甲高い声がどれほどまでに投手を、チームを勇気づけたことか。ましてやそれは、勝っているとき、押せ押せムードのときはもちろん、ビハインドのとき、投手が四球の連続で重い空気が漂っているとき、もっといえば、自らがエラーした後でも“変わらずに”である。
一見、声を出すだけなら誰でもできると思われがちだ。だが、この「どんなときも変わらずに」声を出すことがいかに難しいかは、選手たちが最もよく理解している。「なかなかできないこと」と、その価値を皆が称賛する。
山田にとって“声”は「いつもの自分に持っていくため」の手段だという。「声を出さないと、緊張などで固まってしまって、いつものプレーが出せなくなるんです。それをほぐすために声を出すというのが大きいと思います」。かつては契約交渉の際に球団から「元気以外にプレーで勝負できるものをつくれ」と言われたが、昨季98試合に出場し、守備面で大きくアピールに成功した。打撃を向上させ、今季はさらに多くの時間、その声をグラウンド上で轟かせたい。
写真=BBM