
打って、走って、グラウンドで躍動する野村
持ち味の俊足を最大の武器に全力で駆け抜けてきたルーキーイヤーに思わぬ落とし穴が待っていた。ドラフト4位入団の
野村勇も、チームの新型コロナ禍に巻き込まれた。6月27日に新型コロナウイルスの陽性判定を受け、初の戦線離脱。療養期間を経て、7月17日にようやく一軍復帰を果たした。
ルーキーではただ一人の開幕一軍をつかんだ。序盤は足のスペシャリストとして代走起用がメーンだったが、非凡なパンチ力を見せつけると、スタメン起用も増えてきた。6月19日の
楽天戦(PayPayドーム)では先制の6号2ラン。エンドランのサインに応えられず、追い込まれてからの一発だった。「うわっ、やってしまったなと。そのまま三振が一番ダメだなと思い、切り替えて、何とか食らいつこうとした」。
現在、新人では1994年の
小久保裕紀(現二軍監督)の6本を超えシーズン8本塁打。4月24日の
日本ハム戦(札幌ドーム)では同じく小久保以来28年ぶりとなる球団新人1試合2発も記録した。「今のところは出来過ぎ。出来過ぎたなと言ってシーズンを終えられるようにこれからも打ちたい」とまだまだ満足していない。
身長は175センチながらパワーはチームでもトップクラスを誇る。「当てにいったら良さがなくなるんで。強く振れるところが強みでもある」と自覚する。
藤本博史監督は「意外性を持ったね。積極性もあって、思い切りもあって、足も速い、肩も強い。これでコンタクトできたら素晴らしい選手になるんじゃないですか」と高く評価。再び一軍で、打って、走って、かき回す。
写真=BBM