
本来の力強さを取り戻し待望の一軍マウンドに立った
第100回の夏を制した優勝右腕が、ようやく一軍デビューした。
柿木蓮が4年目にして、表舞台に登場。6月11日の
中日戦(札幌ドーム)、6点リードの7回にプロ初登板した。衝撃的だった。先頭の
マルティネスに対して4球目に、この日の最速となる150キロを計測。決め球となった147キロの直球で右飛に打ち取り、バットもへし折った。
2人目の打者となった
阿部寿樹も直球でバットを折らせて二飛。最後の
高橋周平も直球で押して、フォークで二ゴロに打ち取った。球速が130キロ前後まで落ちてしまった時期もあったが、本来の力強さが復活。「やってきたことを、ただ出すだけだと思った」と、二軍でもがきながらたどり着いた今の自分の投球を精いっぱい表現した。
BIGBOSSから与えられたチャンスを生かした。昇格までは二軍で中継ぎとして13試合で防御率12.79だった。数字だけを見れば、一軍に呼ばれるのは難しい状況だったが、BIGBOSSは「柿木君の真っすぐは面白い」と、映像で確認した直球が琴線に触れて一軍へ招集。「ここで試さないと分からない」と、期待をしてマウンドに送り出した。
指揮官の期待に応えるように、緊張感たっぷりのマウンドでポテンシャルが引き出された。その姿に指揮官も「本人以上に僕がうれしくなりました」と喜び、バッテリーを組んだ
石川亮も「あんな柿木、見たことがない」と驚く快投。7月以降は二軍再調整となったが、大阪桐蔭高出身の甲子園V右腕が紆余曲折を経て、大きな自信をつかんだ瞬間だった。
写真=BBM